【水口教授のESG通信】アマゾンはなぜ燃えるのか - ポピュリズムとESGを考える

 2019年、アマゾンでは森林火災が前年をはるかに上回る規模で発生しています。その原因として、畜産や大豆生産のために森林を焼き払う農業生産者の存在が指摘されています。投資家は、企業に対してサプライチェーンを通じて森林火災に加担しないよう、圧力を強め始めています。そのような投資家の行動は重要です。しかし、問題の根本にあるのは農業者の森林破壊を厳しく取り締まろうとしないブラジル政府と、ボルソナロ大統領の姿勢です。そこで、ブラジルのトランプとも呼ばれるボルソナロ大統領の登場に遡って、この問題を考えていきたいと思います。

【水口教授のESG通信】EUタクソノミーを考える

2019年6月、欧州委員会の「サステナブル金融に関するテクニカル専門家グループ(TEG)」からタクソノミー・テクニカルレポートが公表されました。このEUのタクソノミーは、サステナブルな活動とは何かを分類し、定義するものです。今回のレポートは気候変動の緩和と適応に関するタクソノミーの案を示しています。その内容は詳細な上に、基準値の設定が高いので、日本でも様々な議論が起きています。今回のタクソノミーの案をどう受け止めればよいのか、サステナブル金融を推進する欧州委員会の取り組みの全体像を見ながら考えていきたいと思います。

【水口教授のESG通信】融資とESG - グリーンローンからESG地域金融へ

2018年3月、ローン市場協会(Loan Market Association: LMA)等はグリーンボンド原則をほぼ踏襲してグリーンローン原則を公表しました。さらに2019年にはサステナビリティリンクローン原則という新しい考え方が登場しました。これは、融資先のサステナビリティターゲットの達成状況に応じて金利等を優遇するローンです。実は、この考え方は日本で長年取り組まれてきた環境格付融資に似ています。一方、日本の環境省は新たに「ESG地域金融」という考え方を提唱し始めています。融資の分野で起きているこの多様な動きを整理してみました。

【水口教授のESG通信】生態系を支える虫たち - ESG投資はどう応えるのか

地球上の花をつける植物の9割は、多少なりとも動物、主に昆虫による花粉媒介に依存しています。そしてそれらの植物が多様な生物のエサになったり、生息地になったりします。昆虫がいなくなれば、植物が受粉できず、植物が受粉できなければ、他の生物のエサや生息地も失われ、生態系全体が崩壊しかねません。ところが昆虫種の3分の1が絶滅の危機に瀕していることが、ある論文によって明らかになりました。これは生態系全体に関わる重大なESG課題です。では、なぜ昆虫は減っているのでしょうか。最新の研究を紹介します。

【水口教授のESG通信】企業価値からサステナビリティ選好へ ― ESG投資の新しい論理

ハーバード大学教授が「受託者は受益者の利益のみを考慮すべきだ」としてESG投資に批判的な論文を発表した。ところが、当の受益者がサステナビリティ投資を望んでいるとの別の論文もある。受益者のための行動とは何をすることなのか、研究者たちの論文を読み比べてみよう。

【水口教授のESG通信】ESG投資推進派の落選 - カルパース理事選挙の結果をどう捉えるか

米国最大の公的年金カルパースで、2018年10月、理事選挙が行われ、ESG投資を積極的に推進してきた現職のプリヤ・マサーが、対立候補のジェイソン・ペレズに敗れる波乱がありました。これはESG投資に対する批判の表れなのでしょうか。選挙結果の背後にある意味を読み解いてみたいと思います。

【水口教授のESG通信】テクノロジー産業とESG投資 - その光と影

2018年9月に開催されたPRI in Personでは、テクノロジー産業とESG投資に関してさまざまな議論がなされました。テクノロジーはESG投資を推進する力を持ちますが、テクノロジー自体が多くのESG課題と関わってもいます。実際にESG投資家はアップルとエンゲージメントを始めたり、フェイスブックに株主提案をしたりし始めています。ESG投資はテクノロジー産業とどう向き合うのか、最近の動向をまとめました。

【水口教授のESG通信】個人向けESG投資の時代

 欧州委員会は2018年3月に公表したアクションプランの中で、ESG投資のすそ野を個人投資家へと広げていく施策を盛り込みました。その背景には個人投資家の多くがサステナビリティに価値を置くとの調査結果が出始めたことがあります。それでは、今後、日本でESG投資が個人投資家へと広まるためには何が必要なのでしょうか。その課題と方向性について検討します。

【水口教授のESG通信】PRI in Person 2018 参加報告

2018年9月12日から14日まで、サンフランシスコでPRI in Person 2018が開催されました。世界のESG投資関係者1200人以上が集まり、3日間にわたり、幅広いテーマが議論されました。中でも今年のキーワードは、気候変動、中国、経済的不平等の3つだったと思います。今年、サンフランシスコでどんなことが語られたのか、その概要を紹介します。

【水口教授のESG通信】ポスト抗生物質時代の黙示録 - 欧州投資家が注目する食品問題

「これはフードサプライチェーンの問題なのです」。2018年6月、ロンドンで開催されたRIヨーロッパの全体セッションで、イングランドの最高医療責任者であるデーム・サリー・デービス教授は抗生物質が効かなくなる薬剤耐性菌のリスクについて語りました。家畜を狭いスペースで集約的に飼育する工場的畜産で大量の抗生物質が使われ、それが薬剤耐性菌のリスクを高めています。そのような畜産農家から肉を仕入れる食品関連企業にとっての新たなESG課題となる薬剤耐性菌の問題と、欧州投資家の反応をまとめました。