【水口教授のESG通信】サステナブル金融とは何か - 欧州委員会アクションプランの意味すること

欧州委員会は、2018年3月8日にサステナブル金融に関するアクションプランを公表しました。これは、1月に公表された「サステナブル金融に関するハイレベル専門家グループ(HLEG)」の提言を受けたものです。その内容は多岐にわたりますが、大きく分けると、再エネ事業などのサステナビリティ活動へと民間の資金を振り向けることと、金融・資本市場全体のサステナビリティ化を促進することの2つの側面があることがわかります。このアクションプランは、これまで民間の自主的取り組みとして進展してきたESG投資への動きをさらに加速するものになりそうです。その概要を紹介します。

【水口教授のESG通信】持続可能な水産 - 資本市場からのアプローチ

 魚は、本来、適正な漁獲量を守っていれば、永続的に捕り続けられる持続可能な資源のはずですが、過剰漁獲のために持続可能性が危機に瀕しています。イギリスのフィッシュ・トラッカー・イニシアティブはこの問題を投資家の視点からとらえ、水産関連の上場企業228社を特定して、持続可能性方針の有無や情報開示の内容を調査しました。その最初の報告書『エンプティ・ネッツ - 過剰漁獲リスクはいかに投資家を座礁させるのか』を通して、彼らの主張に耳を傾けてみたいと思います。

【水口教授のESG通信】サステナブル金融への挑戦 - EUハイレベル専門家グループの提言

2018年1月31日、EUの「サステナブル金融に関するハイレベル専門家グループ」が最終報告を公表しました。その中では、サステナブル金融に関する機関投資家の義務を明確にすること、個人投資家への浸透を図ることなど、欧州委員会に対して相当踏み込んだ提言をしています。しかも欧州委員会はこの提言を基にアクションプランを策定し、政策に反映すると言われます。EUのサステナブル金融への取り組みは今後どう進むのか、提言の概要を紹介します。

【水口教授のESG通信】ESG情報開示はどこへ向かうのか

 2017年には金融安定理事会(FSB)傘下のタスクフォース(TCFD)が、気候変動に関わる情報を財務報告の中で開示するよう、提言しました。ESG情報が企業のリスクや機会に密接に関わることが明らかになり、従来のような環境マネジメント中心の開示から、ビジネスモデルや戦略を中心にした開示へと情報開示のあり方がシフトしつつあります。一方で、情報を利用する側のESG投資では、ユニバーサルオーナーという概念や、エンゲージメントという手法が発展しつつあり、これらが情報開示のあり方にも影響を与えると思われます。ESG情報開示は今後どう進展するのか、これらの動向を踏まえて考えてみたいと思います。

【水口教授のESG通信】虫がいなくなる - 新たなESG課題の可能性

2017年10月、ドイツの研究者グループが昆虫の減少に関する重要な研究成果を公表しました。過去27年間で、空中を飛翔する昆虫の総量が75%以上減少したというのです。蝶や蜂など特定の種だけでなく、昆虫が全体として減少しているという調査結果はヨーロッパで大きな注目を集めました。昆虫の減少は、授粉や食物連鎖などの面で生態系の維持に直接関わります。原因は特定されていませんが、調査地点がいずれも農地に囲まれていることから、農薬や化学肥料などの影響が予想されています。農薬や食品に関わる産業にとって、今後大きなESG課題となる可能性のある「虫問題」について、紹介します。

【水口教授のESG通信】ハワイ・クリーン・エネルギー・デイ参加報告 - もう1つのアメリカ

 ハワイ州は、2045年までに電力を100%再生可能エネルギーにする目標を法制化し、さらに交通分野での石油利用の削減にも取り組み始めました。なぜ、そこまで積極的な取り組みを進めることができるのでしょうか。その理由を知りたくて、2017年8月、一日がかりのワークショップ「ハワイ・クリーン・エネルギー・デイ」に参加してきました。そこには、草の根の市民団体や創業間もない企業から州知事までが一堂に会して、再生可能エネルギーへの転換について真剣に議論する姿がありました。その様子を紹介します。

【水口教授のESG通信】パーム油発電の誤解 - ESGに対する感度を問う

2017年5月、ノルウェー・レインフォレスト基金が報告書を公表し、パーム油を原料にしたバイオ燃料の問題に警鐘を鳴らしました。バイオ燃料は、気候変動防止の観点から化石燃料よりずっとよいと思われがちですが、パーム油のバイオ燃料の場合、実は化石燃料より何倍も悪いというのです。日本でも今後、パーム油発電が広がるきざしが見られますが、本当に大丈夫なのか、よく考えてみる必要がありそうです。

【水口教授のヨーロッパ通信】AIとESG評価

 欧州系のESG運用機関であるアラベスクがAIを使ったESG評価データの提供を始めました。機械学習とビッグデータを使ってAIが自動的にESG評価をする仕組みです。その特徴は、各企業のESG評価のスコアが日々変動することと、評価対象となった約4,000社の評価スコアが、3ヶ月遅れでウェブ上に掲載されることです。まるで株価ボードのようにESG評価の数値が日々変動する様子はインパクトがありますが、長期投資を前提とするはずのESG投資において日々変動するESG評価とは何を意味するのか、考えさせられます。AIによるESG評価が何をもたらすのか、考えてみたいと思います。

【水口教授のヨーロッパ通信】ロンドン証券取引所のESGレポーティングガイダンスが意味すること

 2017年2月、世界の主要取引所の一角であるロンドン証券取引所がESGレポーティングガイダンスを公表しました。その中では、8つの優先事項と題してESGレポーティングに関する8項目の解説がなされています。英国では戦略報告書によってESG情報の開示が義務化されていますし、GRIやIIRCなど、国際的なガイドラインやフレームワークも数多くあります。その中でロンドン証券取引所があえてガイダンスを公表した意味とは何でしょうか。ガイダンスの内容を読みながら考えてみたいと思います。

【水口教授のヨーロッパ通信】サプライチェーンの見えないリスク - 人権ベンチマーク評価とは何か

 国際労働機関(ILO)の調査によれば、世界で強制労働や奴隷的な労働の状況に置かれている人は2011年時点で2,090万人、非強制的なものも含めた児童労働は2012年時点で1億6,800万人に上る。そのほとんどは民間セクターであり、企業はサプライチェーンを通してそれらに関わるリスクがある。それは一種の人権問題である。従来、人権問題と言えばハラスメントや雇用差別など、社内的な問題をイメージすることが