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本稿は、レスポンシブル・インベスターの掲載記事をQUICK ESG研究所が翻訳、編集したものです。

 米国の上院議員8名からなる上院議員グループが機関投資家に、中米、東南アジア、西アフリカにおけるパーム油栽培拡大に伴う熱帯林の破壊と、人権問題に関連する取り組みを問うレターを送付した。グループにはマサチューセッツ州のエリザベス・ウォーレン民主党上院議員、前大統領候補のバーニー・サンダース上院議員が参加している。

 レターは、「パーム油生産に起因する炭素排出量は、インドネシア国内だけでも年間で推定2.5億トンに達し、これはスペインの年間排出量に相当する」と記している。また、「パーム油セクターは人権侵害や社会紛争、違法伐採など、森林犯罪に幅広く関係しており、複数のESGリスクが同時に起きうる状況にある」としている。

 上院議員グループがレターを送付した機関投資家は、BlackRock、CalPERS、Fidelity、Dimensional、JPモルガン・チェース、Kopernik Global Investors、Northern Cross、Northern Trust、プルデンシャル ファイナンシャル、TIAA-CREF、Vanguardの11機関である。これら投資家が対象となった理由は、森林破壊に関係する企業へ融資しているからである。レターでは「ポートフォリオの投資先企業は、サプライチェーンを含めた森林課題を考慮していない」と指摘し、受託者責任に則ってこれらのリスクに取り組むよう求めている。

 森林破壊に関するリスクへの投資家の認識は徐々に高まっている。上院議員グループは、このレターを通じて「アクティブおよびパッシブファンド共に、森林破壊に関するリスクを管理するためのデューデリジェンス体制や、どのような森林破壊に関する投資方針を掲げているのか、ESGリスクが高すぎるために投資を引き揚げた事例があるのか、(ダイベストメント実績がある場合)リスクとは何を意味するのか」見極めようとしている。

 レターに対し、BlackRockは「上院議員の方々が、当社の投資先企業のビジネスモデルに内在するマテリアルなESG要因へのアプローチに関心を寄せていることを歓迎する」と述べる。

 CalPERSのマネージング・インベストメント・ダイレクターのベス・リッチマン(Beth Richtman)氏は、以下のステートメントを公表した。

「当社はサステナブル・インベストメント・プログラムを通じて、ポートフォリオにおける森林破壊に関するリスクの管理に積極的に取り組んでいる。例えば、2018年8月には、RSPO(持続可能なパーム油のための円卓会議)に対し、パーム油セクターにおいてより厳しいサステナビリティ基準を適用することを求める具体的な提案を、他の機関投資家と協働で行った。また同年、大豆、畜牛、パーム油セクターにおける森林破壊に取り組む投資家ワーキンググループにも参加した。CalPERSは、森林は気候変動の物理的リスクから自社のグローバルな投資ポートフォリオを守る、重要な二酸化炭素吸収源であると認識している。しかし、当社はパーム油という一つのコモディティのみ注目しているのではなく、グローバルなポートフォリオ全体における森林破壊の要因を包括的に見ている。2018年7月、CalPERSは『CalPERS Governance & Sustainability Principles(ガバナンスおよびサステナビリティ原則)』の改訂版を策定し採択した。これは環境マネジメント政策や森林課題への取り組みをより強化したものとなっている」
 


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【参照】
Responsible Investor, Paul Hodgson「US senators ask asset managers about managing palm oil-linked deforestation risk (Updated)」2019年2月7日(2019年2月19日情報取得)


QUICK ESG研究所