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本稿は、レスポンシブル・インベスターの掲載記事をQUICK ESG研究所が翻訳、編集したものです。

 ロンドンを本拠地として年金業界における責任投資を推進するNGOのShareActionが発表した最新の調査報告書は、気候変動対策のイニシアチブ「Climate Action 100+(以下、CA100+)」に署名する機関投資家に保有債券の発行体に対しても連携してエンゲージメント活動を行うよう呼びかけている。

 「Sleeping Giants: Are Bond Investors Ready to Act on Climate Change?」と題された報告書は、「社債を保有する投資家は気候変動対策を強化していない発行体の債務借り換えに応じない姿勢を示すべきとの提言に対して及び腰である」と結論づけている。 さらに、現時点でCA100+に署名している機関投資家は300を超えており、発足後まだ日の浅いこのイニシアチブが気候変動対策のエンゲージメントグループとして史上最大規模に発展していることを強調している。署名機関は同イニシアチブを通じ、受託者責任の一環として「投資先企業とのエンゲージメント」に取り組んでいる。

 一方で報告書は、署名機関投資家の多くが上場株式および債券の両方をポートフォリオに組み入れているにもかかわらず、エンゲージメントで目が向けられるのは専ら株式である状況が続いており、「あらゆる面で責任を担う受託者責任」に反すると指摘している。そして「企業に対するエンゲージメントは有効なツールであり、その対象を単一の資産クラスに限定するのは不合理である」とした上で、「社債を保有するCA100+の署名機関投資家は、企業の債務借り換えおよび新規発行時に自らの権限を行使し、気候関連リスクやインパクトを管理するための戦略を策定していない発行体の社債購入は拒否する旨を伝えるべきである」と訴えている。

 今回の調査報告書は、機関投資家および発行体から17社、投資コンサルタント会社から5社、格付け機関、業界団体へのインタビュー、既に公開されている報告書に基づいてまとめられた。

 調査の指揮を執ったのはShareActionフェローのWolfgang Kuhn氏である。同氏は、アバディーン・アセット・マネジメント汎欧州債券部門の前責任者である。

 今回インタビューに応じた多くの債券投資家は、ESGをダウンサイドリスクの指標として投資プロセスに組み入れるべきであり、ESGのエンゲージメントを担うチームの「多く」は既に債券と株式の両方で取り組みを行っていると回答した。また、回答者のほとんどは、気候変動対策から判断して債務借り換えに応じないケースや特定の発行体を投資対象から除外するケースもあり得るとしている。しかし、「作業の複雑さとデータの少なさ」が大きな障害となっており、グリーンボンドの購入やセクター単位で投資対象から排除する手法などESGの主な投資手法の一部には懐疑的な目が向けられている。

 今回の報告書で重要なのは、債券投資家が気候変動対策を自らのポートフォリオ内のリスク軽減手段としか考えていないと結論づけている点である。そして「債券投資家はいまだ投資のインパクトを重視していない。債券投資家にとって、地球の平均気温の上昇をいかに2℃未満(1.5℃となればなおさら)に抑えるかという問題とその答えは全く眼中にないのである」と指摘する。

 フランスの資産運用会社La Françaiseでポートフォリオマネジャーを務めるMarie Lassegnore氏は報告書を称賛し、「気温上昇を2℃前後に抑えるためには、早急な変化が必要だ。現時点でエンゲージメントを行っていない資産運用会社は産業界に多くの影響をもたらすポテンシャルがある」と述べた。


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【参照】
Responsible Investor, Sophie Robinson-Tillett「Climate Action 100+ investors need to stop ignoring corporate bond holdings, says ShareAction」2019年1月31日(2019年2月14日情報取得)


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