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本稿は、レスポンシブル・インベスターの掲載記事をQUICK ESG研究所が翻訳、編集したものです。  
 

 世界各国・地域の証券監督当局や証券取引所等、100ヶ国以上からの加盟団体を抱える国際的な機関である証券監督者国際機構(IOSCO)が有価証券の発行体に対して、監督当局向けの情報開示報告書に重要性の高いESG情報を盛り込むよう要請した。そして「ESG課題は、(中略)状況によっては有価証券発行体の持続的な実行可能性に深刻な脅威をもたらしかねない」と警告した。

 IOSCOは2019年1月18日に発表したこの声明で、「非財務情報と分類されるESG課題は、発行体の事業運営のみならず、投資家の議決権行使判断および投資商品のリスクやリターン特性にも重要な短期的および長期的影響を及ぼす可能性がある」と指摘した。 そして、ESG関連情報を含め現在は発行体が自発的に開示している情報に関しても、「重要性が高いものは有価証券報告書への記載が義務づけられる可能性がある」と結論づけている。今回の声明はESG情報開示の内容にばらつきがある点も指摘し、具体的に気候関連財務情報開示タスクフォース(TCFD)の提言に言及した上で、「開示手続きの整合性を向上させ、投資家のニーズに合った情報の開示を企業に促す」としている。 

 ここにきて監督当局がガイドラインや政策策定の過程でTCFDの提言に言及するケースが増えている。TCFDの提言は気候変動関連財務情報の開示における最初の本格的な世界基準になる可能性がある。サステナブルファイナンスに関する欧州委員会のテクニカル専門家グループは報告書で、非財務情報開示に関するガイドラインをTCFDの提言と整合させる方法を示した。英国の4つの金融監督当局はいずれも気候変動関連財務情報の開示を進める方針を明らかにしており、TCFDの提言を踏まえて行うことになるだろう。一方、フランスは同提言の内容を義務化する意向を示しているほか、中国の法制アドバイザー(Regulatory advisors)もこうした動きを後押ししていると報じられている。 

 IOSCOは、投資家の意思決定に欠かせないあらゆるテーマに関する情報開示を発行体に求めることを自らの原則に盛り込んでいるが、「発行体に重要なESG関連情報の開示を促すためには、加盟する監督当局が果たす役割が重要になる」と指摘している。また、「発行体は、ガバナンスおよびESGに関する具体的なリスクの監督体制も開示するよう求められている。例えば、リスク評価の手法や、自らが特定したリスクに対処するため講じている措置や策定している行動計画などの開示が含まれる」としている。


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【参照】
Responsible Investor, Sophie Robinson-Tillett「IOSCO namechecks TCFD as it urges issuers to disclose on ESG」2019年1月21日(2019年2月6日情報取得)

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