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本稿は、レスポンシブル・インベスターの掲載記事をQUICK ESG研究所が翻訳、編集したものです。

 2018年12月3日、ロイヤル・ダッチ・シェル(以下、シェル)と気候変動への対応を働きかけるイニシアチブの「Climate Action 100+ (以下、CA100+)」が共同声明を発表した。声明では二酸化炭素排出量(スコープ3排出量を含む)の削減に向けた「具体的な短期目標(3~5年間)」を設定することで「野心的な長期目標」の達成を「可能にする」としている。シェルは、こうした目標設定を2020年から2050年まで継続する計画で、目標の達成状況を役員報酬に反映させる。

 CA100+を代表してシェルへのエンゲージメントを主導する投資家は、Robecoと英国国教会年金理事会である。英国国教会年金理事会の倫理・エンゲージメント部門のディレクターを務めるアダム・マシューズ氏はレスポンシブル・インベスターの取材に対し、シェルの発表は「市場をリードする動きであり、他の石油・ガス関連企業と一線を画すものだ」と述べている。さらに「エンゲージメントは成果に結びつくのかと問われれば、今回の共同声明は会社側が株主の声に耳を傾けていることを示す明らかな証拠であると答えよう。シェルは野心的な短期目標を毎年設定し続ける枠組みを設け、役員報酬に連動させる考えだ」と指摘する。  

 シェルが共同声明を発表した数日前に、アクティビスト(物言う株主)として活動するグループ「Follow This」が、石油メジャーであるシェルに対して4度目となる株主提案を提出した。株主提案では、温室効果ガス排出量の削減目標が「2℃目標」に整合しているどうかを測る指標の設定および公表を会社側に求めた。Follow Thisの創設者であるマーク・バン・バール氏は今回の声明について、「”大きな一歩”だが、Follow This が過去の株主総会で提出した株主提案に賛同した株主のサポートなしには実現しなかっただろう」と述べている。シェルが気候変動対応を約束したことで、2019年のシェルの株主総会でFollow This が提出する株主提案への賛成票が減るかどうか尋ねたところ、同氏は「それはない。今回の声明はまだ約束にすぎず、約束の実現には株主の支持が必要だ」と答えた。また、「彼ら(CA100+イニシアチブのメンバー)が株主提案を支持することを望むが、それより他の企業に対しても気候変動に関する株主提案を提出することの方が重要だ」と述べている。

 一方マシューズ氏は、Follow Thisが二酸化炭素排出量削減目標への注意喚起や目標重視の姿勢を促すなど、前向きな役割を果たしてきたことは認めつつも、シェルに対する株主提案の取り下げを望んでいる。 同氏は「シェルに対しては、株主提案という方法をとる必要はないだろう。会社側はエンゲージメントに応える姿勢を見せており、今後はターゲットを他の石油関連企業にシフトすべきである」とする。またCA100+は、株主提案に対する共通の立場を定めてはいないが、「取り組みを続ければ、状況は(良い方向に)変わるだろう」と述べている。

 Follow Thisが2018年のシェルの株主総会で提出した気候変動関連の提案に対する賛成票は全体の5.1%で、棄権票が7.2%あった。棄権票を投じた投資家には、英国国教会年金理事会、Ircantec、フランス預金供託公庫が運用する公的年金基金、アクサ・インベストメント・マネジャーズが含まれる。


https://www.responsible-investor.com/

【参照】
Responsible Investor, Carlos Tornero 「Latest Follow This resolution at Shell risks opposition from Climate Action 100+ investors」2018年12月3日(2018年12月25日情報取得)


QUICK ESG研究所