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本稿は、レスポンシブル・インベスターの掲載記事をQUICK ESG研究所が翻訳、編集したものです。

 世界的な物流大手のXPOロジスティクスは、米国と欧州で、国際運輸労連(ITF: International Transport Workers’ Union)の支援を受けた複数の従業員から性差別とセクシャルハラスメントに関する問題提起を受けている。同社の従業員は、公式なルートを通じた告発に対して満足な対応が得られなかったとして、フランスと米国で開かれた株主総会で会社側に立ち向かった。

 従業員の代表団は、6月15日にフランスで開かれたXPOロジスティクスヨーロッパ(XPO LOGISTICS EUROPE、ユーロネクスト・パリ上場)の株主総会で、取締役会と株主に対して同社のスペイン・グアダラハラ(Guadalajara, Spain)倉庫における性差別を訴えた。アロベラⅡ(Alovera II)倉庫で働くマリア・ゲマ・メジア・ラモス(María Gema Mejia Ramos)はこの総会で、「私は機械の操作、荷台の片付け、商品の数量確認を受け持っているが、それらの作業に対する正当な賃金が支払われていない。トレーニングも受けているが、会社側はそれを認めていない。私を含めた数名の女性従業員はフォークリフトも運転する。私たちは男性と同じ仕事を同じ労働環境で同じようにこなしているにもかかわらず、女性というだけで男性より低い賃金に甘んじている」と訴えた。一方、これに呼応して、フランスの同社従業員はこの株主総会の当日にストライキを敢行した。

 同様に米本社(XPO LOGISTICS, INC.、ニューヨーク証券取引所上場)の株主総会でも、今も続くセクハラ問題と倉庫内で従業員のリンダ・ニールが死亡した問題について従業員の代表団が説明したが、取締役会によって無視された。この総会では、年次でサステナビリティ報告書を発行することを求めた株主提案にノルウェー政府年金基金を運営するNBIM(Norges Bank Investment Management) を含む3分の1の賛成票が投じられた。同提案は、北米の運輸・倉庫業の労働者を中心メンバーとする労働組合チームスターズ(International Brotherhood of Teamsters)の年金基金によって提議されたもので、チームスターズはITFと緊密に連携してこうしたキャンペーンを展開している。一方、会社側は株主総会招集通知で、環境・人材管理・ガバナンス面において持続可能な方法により経営にコミットしている旨を謳っている。また、包括的なサステナビリティ報告書の作成に必要な「プロセスを開始する」体制が整ったとしているが、株主には同提案に反対票を投じるよう要請している。

 また、XPOの従業員は、同社の主要顧客企業の1社である携帯電話事業者ベライゾンの株主総会にも出席し、テネシー州メンフィスでベライゾン向けの物流と出荷を担っているXPOの施設の問題を提起し、サプライチェーンの労働環境により配慮するよう求めた。ベライゾンの取締役会はXPOに対して、メンフィス倉庫の労働環境について調査するよう書面で要請した。

 「XPOロジスティクスはグローバル企業であり、国際的なレベルで重要なポジションにある。従って、より大きな責任を負っている」と述べるのは、上記のスペインの倉庫での性差別についての報告書を共同執筆したITFのベロニカ・シルベイラ(Veronica Silveira)である。そして、「同社は社内通報・告発のための公式なルートを設けているものの、従業員は雇用契約の更新に差し障るのではないかとの懸念からこうしたルートの利用にためらいがちである」と指摘している。


 

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【参照】
Responsible Investor, Sophia Grene「Logistics firm XPO’s shareholders’ meetings hear accusations of gender bias and sexual harassment」2018年6月20日(2018年7月23日情報取得)


QUICK ESG研究所