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本稿は、レスポンシブル・インベスターの掲載記事をQUICK ESG研究所が翻訳したものです。

 年金業界の責任投資を推進するロンドンのNGO、ShareActionは、2017年6月、Asset Owners Disclosure Project (以下、AODP*)を傘下に収めることに合意したと発表した。同月には、気候関連財務情報開示タスクフォース(TCFD)の提言が発表され、多くのアセットオーナーおよびアセットマネージャーが、気候変動のリスクとビジネスチャンスに関するプロジェクトを打ち出した。ShareActionは、このような時期にAODPの先駆的な活動を継続することは、自身にとって重要な動きと考えている。また、監督当局、政府機関、顧客および投資運用業界の多くの関係者にとっては、今後の進展を、一貫性のある公正かつ公開された方法で評価することが重要である。AODPは2018年中に、3つの個別セクターのグローバル気候インデックスと、ベストプラクティスレポートの公表を目指している。ShareActionも、必要に応じて調査対象の範囲を広げることを検討している。

保険会社のグローバル気候インデックス 

  2018年、AODPは世界の保険セクターの調査から開始する予定である。世界最大手の保険会社75社(上場および未上場を含む)を対象に、アセットオーナーおよび保険会社として気候変動リスクをいかに考慮しているかを評価する。調査の質問項目は、TCFDの保険セクターへの提言を完全に踏襲するものとする。また、サステナビリティ会計基準、全米保険監督官協会および国連責任投資原則(PRI)の報告書の枠組みに沿って質問と調査内容を構成する。2017年11月にアンケートを配布、インデックスの公表は2018年3月を予定している。

年金基金のグローバル気候インデックス

 このインデックスは、世界の年金基金のうち規模の大きい約200基金を対象とする。2018年3月に調査参加者にアンケートを配布し、同年6月にインデックスの公表を予定している。

アセットマネージャーのグローバル気候変動インデックス

 このインデックスは、世界最大手のアセットマネージャー50社を対象とする。2018年5月に調査参加者にアンケートを配布し、同年8月にインデックスの公表を予定している。

ベストプラクティスレポート

 AODPが2017年に公表したインデックスでは、幅広いOECD加盟国(英国、米国、オランダ、オーストラリア、フランス、デンマーク、ニュージーランド、スウェーデン)に拠点を置く17のアセットオーナーと、アセットマネージャー1社が「AAA」に格付けされた。AODPはこれらのリーダーに1対1でインタビューを行い、2017年の調査データも踏まえた上で、業界リーダーの取組みやプロジェクトを特定し、特徴を明らかにする。レポートでは、その他の組織が社内基準を向上させるために採用できる比較的簡単な手法も示す。レポートは2018年4月に発行する予定である。

新たな動き

 ShareActionは、2018年のAODP調査のプロセスに以下の大きな変更を加える。

TCFDの提言を踏襲

 AODP調査の構成および手法は、TCFDの提言との整合性をさらに強め、情報開示状況を測るツールとして綿密で、セクター固有の特性を反映した、適切かつ有効なものとする。機関投資家とそのステークホルダーは、TCFDの提言が気候変動関連報告の重要な枠組みになるとの見解を明示している。AODPが2018年の調査をする際には、TCFDの提言やセクター固有のその他のガイドラインが重要な拠り所になるとみられ、調査の参加者にとっても気候変動関連の報告書作成の負担軽減につながる可能性がある。多くの企業は気候変動関連の情報開示に慣れていないとみられるため、AODPのアンケートがロードマップとしての役割を果たすだろう。AODPは低炭素社会における国家、国民および企業の繁栄を目指しており、機関投資家が気候変動リスクを有効に管理し、気候変動をめぐるビジネスチャンスを活かすためのツールとして枠組みが使われることを期待している。

セクターの違いを把握、調査を分散化

 年金基金、保険会社、財団、基金、政府系ファンドなどの違いを把握するため、アセットオーナーをセクターに分けてそれぞれアンケートを作成し、年間で複数の調査の実施を検討する。セクター別に調査をすることで、AODPのアドボカシー(政策提言)能力が向上し、セクター内の明確な比較が可能になるだけでなく、調査参加者は気候変動関連の開示内容と、他の報告プロジェクトや自社の年次報告書との整合性を高められるようになる。

アドバイザリーグループの形成

 AODPは調査を監視し、専門知識を提供し、調査のガバナンスを向上させるため、アドバイザリーグループを立ち上げる計画を立てている。同グループの権限については、必要なプロセスが完了し次第公表する予定である。

アドボカシー

 AODPが、調査と進行中のプロセスの管理を委ねる相手としてShareActionを選んだ主な理由は、アドボカシーの成果を向上させることにある。ベストプラクティスレポートの発行もその一環であり、アセットオーナーとアセットマネージャーが業界内の優れた事例を特定し、「社内」パフォーマンス向上のための措置を講じる際のヒントとなるはずである。

 

*AODP:AODPは、年金基金、保険会社、政府系ファンドおよび寄付金を原資とする機関投資家を対象に、気候変動関連の財務情報調査や情報開示状況のランキングを実施するプロジェクトである。すでに多くの主要投資家がAODPの枠組みを使用して情報を開示している。


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【参照】
Responsible Investor, Toby Belsom「The Asset Owners Disclosure Project (AODP) outlines its next steps for 2018」2017年11月17日(2018年1月5日情報取得)

【関連記事】
QUICK ESG研究所「【RI 特約記事】ShareActionとAsset Owner Disclosure Projectが合併」2017年7月28日(2018年1月5日情報取得)


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