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本稿は、レスポンシブル・インベスターの掲載記事をQUICK ESG研究所が翻訳したものです。

 英国グラスゴーの地方公務員年金基金、ストラスクライド年金基金(Strathclyde Pension Fund。運用資産総額:190億ポンド、約2兆8500億円。*1ポンド=150円換算)は、アセットマネージャーへの運用委託料の削減を目的とした、年次での費用対効果レビューを検討している。今回の動きの背景には、英国金融行動監視機構(Financial Conduct Authority。ニューカッスル大学ビジネススクールのクリス・シエラ教授が議長を務める)による資産運用業界の費用の透明化を促進するキャンペーンや、その他類似のイニシアチブによる活動がある。

 英国では、2016年6月、勅許公共財務会計協会(Chartered Institute of Public Finance & Accountancy:CIPFA)がファンドマネージャー運用委託料に関するガイダンスを公表した。また、地方公務員年金基金制度諮問委員会(Local Government Pension Scheme Advisory Boar:SAB)が透明性に関する規定(トランスペアレンシー・コード)と報告書のテンプレートを定めている。

 ストラスクライド年金基金の費用対効果レビュー案は、アセットマネージャーが指名される際の場当たり的な費用交渉を問題視し、基金の内部スタッフにより提起されたものである。

 同基金は、「アセットマネージャーとの運用委託料交渉が十分でない場合、適切な費用の削減がなされているか確認できない恐れがある。そのため、運用委託料やその他費用については、資産クラス、資産カテゴリーおよび運用委託契約ごとに内部監査の一環として検証する案が提起された。また、期待する投資収益とアセットマネージャーの実績という観点から、運用委託料を見直すことも推奨された」と述べた。現在、同基金は13の外部アセットマネージャーとの契約があり、費用対効果レビューは、2017年12月から実施される予定である。

 同基金によると「現状の取組みでは、外部への運用委託料がそれに見合う価値を生み出しているかどうか立証できないリスクが大きい」。同基金はアセットマネージャーへの運用委託料について他の基金と比較したことがあるが、具体的な意思決定はなされてこなかった。

 同基金は、アセットマネージャーとの交渉により実現した費用削減効果を計算・記録するためのスプレッドシートを作成している。さらに「アセットマネージャーのパフォーマンスを監視し報告する準備は整っている。パフォーマンスが基金の期待に沿っていない場合は、そのアセットマネージャーへの運用委託料を削減する」としている。

 責任投資の実践や再生エネルギーへの投資を促進している同基金は、2016年度、23.1%の投資リターンを達成している。またポートフォリオのカーボンフットプリント調査を初めて実施した。同基金のアラン・ガウ議長兼市財務官は、「当基金のポートフォリオは、業界標準と比較するとカーボンフットプリントが相対的に低いことが判明した。この調査結果は、アセットマネージャーとの対話の中で報告される予定であり、定期的に再実施する」と述べている。

 同基金は、化石燃料業界のダイベストメントには反対しており、ポートフォリオのカーボン・マネジメントや企業との活発なエンゲージメントを優先している。



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【参照】
Responsible Investor, Daniel Brooksbank「Strathclyde fund considers value-for-money review of manager fees」2017年10月9日(2017年11月29日情報取得)


QUICK ESG研究所