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本稿は、レスポンシブル・インベスター(以下、RI)の掲載記事をQUICK ESG研究所が翻訳・編集したもので、「【RI特約記事】株主提案は変化しているのか? 議決権行使勧誘業者、ジョージソンによる見解(part1)」の後編です。RIが議決権行使勧誘業者ジョージソン社のアン・マイヤー氏(コーポレートガバナンスディレクター)にインタビューした内容の続きです。

■ RI:
 企業が株主提案を受けた際、提案者や大手機関投資家と直接エンゲージメント(対話)するため、議決権行使勧誘業者に相談することはあるか。

マイヤー氏:
 はい。株主との対話は議決権行使勧誘活動の一部です。通常、企業は株主提案を好まないため、大半の企業が議案提出前に提案者と対話し、議案の取り下げか証券取引委員会(SEC)規則14a-8に則ったノーアクションプロセスが取れないか探ります。ただし、提出された株主提案に対して議決権行使助言会社グラスルイスやISSが両社とも反対推奨した場合は、提案を快く受け入れる傾向にあります。また、議決権行使助言会社が反対推奨した場合であっても、株主から追加の情報開示を求められたり、議案に反対する理由を尋ねられたりすることがあるので、投票結果に懸念がある場合は、大株主上位25から50位までと積極的に対話します。

 株主議案で触れていなかったり、必要な情報が強調されていなかったりする場合、全株主が最適な判断をできるように、そして企業が恣意的な情報開示をしていると思われないように、SECに追加情報を提出します。こういった活動は取締役報酬からESG課題に至るまで、あらゆる議案において実施されています。

■RI:
 以前、バンク・オブ・アメリカに対し、取締役会議長とCEOの役職分離を求めるキャンペーンがあった。企業はこのようなキャンペーンに対応するのか。

マイヤー氏:
 キャンペーン内容に経営層が関心を示す場合は対応します。実際、取締役会議長とCEOの役職分離は、経営層が強い関心を示す内容の1つです。

■RI:
 企業は、議決権行使助言会社が取締役会議長とCEOの役職分離を求める議案に反対推奨するのを待つことはあるか。

マイヤー氏:
 ありません。一度議案が提出されてしまうと、グラスルイスやISSの推奨が出るまで株主を引き留めることが困難なため、総会前の数週間で集中的に対話します。そのため企業は、追加情報の準備と同時に、誰と対話するのかを事前に決めておきます。毎年、多くの企業が株主総会の定足数を獲得するため、積極的に議決権行使活動をし、私たちにできる限り多くの議決権保有者と接触するよう求めます。私たちは、株主構成やこれまでの株主総会の傾向、大株主の議決権行使方針や議決権行使助言会社の推奨、株主との対話の経緯とその反応、総会で決議される議案内容など、複数の要因を考慮し、経営陣が望む結果に繋がる議決権行使勧誘活動や株主との対話に向け、企業と密接に関わります。

■RI:
 議決権行使勧誘活動は、議案が提出される秋に始まり、株主総会の前日まで続くと考えられるが、どのような勧誘活動をするかは、企業によって異なるのか。

マイヤー氏:
 はい。また、この数年間で企業は、株主総会オフシーズンの対話活動を非常に重要視するようになってきています。

■RI:
 約5年前と比べて状況は著しく変化している。この状況は取締役の報酬に関する議案だけではなく、他の議案でも同じか。

マイヤー氏:
 取締役報酬以外で現在よく議論されるのは、長期企業戦略、取締役会構成とその刷新、CEO後継問題、環境および社会課題などです。株主から対話要請を受けた際、準備不足であると、企業側は多少焦りを覚えるようですが、企業と株主が互いに歩み寄ろうとしている姿勢を感じます。

■RI:
 株主総会オフシーズンの対話活動に積極的な企業が出てきたのは、議決権行使勧誘活動の新しい傾向であるように感じる。

マイヤー氏:
 要求が明確な投資家や、他社に比べて投資家への対応が良い企業もあります。こういった投資家や企業が積極的に対話することで、株主議案の提出、株主の態度保留、あるいは特定の取締役選任への反対投票の抑制につながります。時に強すぎる要求や、理解できない要求を突き付ける投資家もいますが、大半は企業の対応を受け入れ、1年以上の猶予期間を与える場合さえあります。

■RI:
 米国は、株主が独立社外取締役および経営層と対話できるため、対話活動の内容が欧州寄りに変化しているように思える。米国企業はこの状況を快く感じているのか。

マイヤー氏:
 企業によって反応は様々です。当初、企業側の反応は悪く、取締役を表に出すことを好みませんでした。また、Reg FD(企業に対し、重要情報を全ての株主に公正に伝達することを求める規制)についても懸念していました。一方で投資家は、スチュワードシップ・コードやコーポレートガバナンス・コードの進展が示すように、取締役と投資家が適切に対話できる環境を要求し続けています。

 極めて重大な議案でなければ対話に応じない企業や、対外的には取締役との対話が不可欠だと謳っていても、企業と積極的に対話することに関心もなければ、そういった能力もない投資家がいるのも事実です。このような状況が落ち着き、取締役が必要なときに対話に応じて価値ある見解を示せるようになればよいと思います。

 あまりに多くの株主提案がなされることで、議決権行使プロセスがより多くの時間を必要とするようになっているだけでなく、企業にとってより複雑なものとなっていることは明らかです。
 


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【参照】
Responsible Investor, Paul Hodgson「Are shareholder resolutions really getting better? The view from the proxy solicitor (Part 2)」2017年6月23日(2017年11月22日情報取得)


QUICK ESG研究所