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 S&P Dow JonesやFTSE Russellが、種類株式発行(Multi-Class Share Structures)企業をいくつかの主要指数から除外する動きをとっている。

 S&P Dow Jonesは2017年7月31日、種類株式発行企業に関する指数採用方針を、以下の通り発表した。

  • 世界の株式を対象とするS&P Global BMI IndicesおよびS&P Total Market Indexは、引き続き、種類株式発行企業、議決権制限株式あるいは無議決権株式発行企業を採用対象とする
  • 米国の株式を対象とするS&P Composite 1500およびその構成指数であるS&P 500, S&P MidCap 400、S&P SmallCap 600は、種類株式発行企業を新たに採用対象としない。ただし、現状採用されている企業については本規則による影響を受けない

 これに先立ち、2017年7月26日にはFTSE Russellが以下のような発表をした。

  • Russell 3000およびRussell 2000を含むFTSE Russell指数の採用銘柄となるためには、総議決権数の5%超を制限のない株主(浮動株)が占めなければならない
  • 現状のFTSE Russell指数採用企業には、新基準に即した資本構成に変更するための準備期間として、2022年9月までの5年間が与えられる

 これらの動きは、米国スナップ社※がニューヨーク証券取引所への新規株式公開(IPO)の際、議決権のない株式のみを発行したとして議論となった例にみられるように、株主の権利の制限につながる恐れのある種類株式や議決権制限株式発行の広がりに対する投資家の懸念を反映している。スナップ社は1つの例に過ぎず、アルファベット、フェイスブック、バークシャー・ハサウェイ、フォード、ビザ、バイアコム、CBSなど、S&P 500とRussell指数に採用されている多くの著名な企業は、既に種類株式を発行しており、自己資本の過半数は所有していないものの、創業者が実質的な支配権を維持している。

 今回のS&P Dow Jonesの発表に対し、CalSTRSのコーポレート・ガバナンス担当ダイレクターのアン・シェーハンは、以下のようにコメントした。
「今回のS&Pの決定に非常に満足している。なぜなら、複数議決権株式などの種類株式は、基本的なコーポレート・ガバナンス原則である1株1議決権原則に反しているという投資家の見解を反映しているからだ。CalSTRSは、複数議決権株式などの種類株式を導入し議決権を棄損する企業の数が増えていることを長い間懸念してきた。 我々は、企業のこうしたガバナンス体制が長期的な株主利益になるとは考えていない。 S&P社がクライアントと協議して作成した今回の指数採用方針は、企業が種類株式を導入する大きな抵抗となるだろう。 CalSTRSは、同様のガバナンス体制の採用を検討している企業に対し、いったん立ち止まって再考することを求める」


 ※スナップ社について
 メッセージングサービス「スナップチャット」を運営する企業。2017年3月のIPOにあたり、Class A株式(無議決権株式)、Class B株式(1株1議決権)、Class C株式(1株10議決権)の種類株式を発行したが、共同創業者のエヴァン・シュピーゲル氏とロバート・マーフィー氏がClass C株式を取得した結果、議決権の約90%が2人の創業者に集中する結果となった。
 

【関連資料】
S&P Dow Jones
S&P Dow Jones Indices Announces Decision on Multi-Class Shares and Voting Rules

FTSE Russell
FTSE Russell Voting Rights Consultation – Next Steps

CalSTRS
CalSTRS Supports S&P Action to Bar Multi-Class Share Companies from Index

Glass Lewis
S&P, Russell Indexes Push Back on Snap’s Non-Voting Stock


QUICK ESG研究所 鈴木敦史、真中克明