イングランド銀行の画像

 このレポートは、QUICK ESG研究所のパートナーである米グラスルイス社が、同社のブログで公表した内容を翻訳したものです。


 イングランド銀行(Bank of England)は、2017年第2四半期報告書で、流動性、リングフェンス、消費者手数料などではなく、多くの投資家にとって重要度が増している気候変動リスクの領域に焦点を当てた。同報告書では、気候変動インパクトに対する銀行セクターの脆弱性への懸念が列挙されている。

 同報告書では、気候変動が引き起こす2つの金融リスクが明記された。1つ目は、気候に関連する事象から生じる「物理的リスク」であり、2つ目は必須とされる低炭素経済への移行から生じる「移行リスク」である。
 気候変動問題は歴史的に、専門家と政府機関が対処するものと見なされてきた。しかし、銀行が気候関連要因による財務リスクを軽減するために何ができるか、という昨今の議論を通し、中央銀行や金融監督当局を含む金融システムの役割に対する期待が高まっている。

 実際に、資産運用会社は気候変動リスク領域に重点を置いている。例えば、ブラックロックは2016年に、気候変動への認識をどのように投資プロセスへ組み込むのか、気候変動が市場リスクと投資機会にどのように関連するのか、を詳述した。
 他にもステート・ストリートは、2017年初頭、企業に対し、気候変動が事業に与える影響についてどのように準備しているか問いかけを始めることを発表した。
 イングランド銀行は、戦略の概要の中で、2つの主なポイントを述べている。1つ目は、健全な監督のためのアプローチの一環として、気候変動に関連する金融リスクを監督プロセスの中に組み込むことである。2つ目は、英国の金融システムの強靭性(レジリエンス)を高めるために、低炭素経済への秩序ある移行を支援することである。
 今回、投資家にとって特に興味深い点は、イングランド銀行が同報告書で、気候関連財務情報開示タスクフォース(TCFD)を参照したことかもしれない。
 TCFD最終報告は7月のG20サミットに先立って発表される予定である。TCFDは非常に期待できるレポーティングフレームワークを作りだした。そのフレームワークでは、気候関連のリスクと機会に対する企業のガバナンスが、気候関連の財務情報開示に関する4つの主分野の内の1つとなる。
 英国の金融機関が今後の年次報告書で、気候変動に関するイングランド銀行との協調の中で、どのようにレポーティングしてくのかは興味深い。また、金融機関自身の最終的な利益と金融システム全体の強靭性(レジリエンス)の観点から、ガバナンスの変革によって、金融機関がどのように気候変動リスクを緩和する役割をはたしていけるのか、注目に値する。

By Cian Whelan 

【元記事】
Bank of England Highlights Climate Change Risk(GlassLewis)

※2017年7月18日 リンクを修正しました。


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