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 昨年設立10周年を迎えたPRI(Principles for Responsible Investment)は、署名機関やステークホルダーへの調査および主要署名機関からの助言を通してこれまでの取り組みを振り返り、2017年5月、今後10年間で達成すべき目標を定めた「責任投資のビジョン-Blueprint-」を公表した。

 PRIは、この先10年間で、責任ある投資家と共に、すべての人々のための真の豊かな世界の実現に向けた持続可能な市場の創造を目指している。

 Blueprintでは、PRIが力を入れる分野を3つ特定し、そのうえで優先的に取り組む9つの目標を提示している。また、目標達成に向けた進捗を測定する主要業績指標(KPIs:Key Performance Indicators)の概要をまとめ、取り組み状況を毎年確認して一般に情報を公開する、と定めている。

 Blueprint公表にあたり、PRIマネージングディレクターのFiona Reynold氏は「PRIのミッションは長期的価値の創造に焦点を当てた持続可能なグローバル金融システムを実現することである。私達は、このようなシステムが市場参加者に金銭的に報いるだけでなく『環境と社会全体に利益をもたらす』と確信している。このBlueprint(ビジョン)では、目標に向けたPRIの中心的な役割を説明している」と述べている。

 PRIは6月21日のロンドンを皮切りに、ニューヨーク、そして8月28日には東京でBlueprint公表に伴うイベント開催を予定している。東京のイベントでは、QUICKがスポンサーを務め、ESG研究所長の広瀬がパネリストとして登壇を予定している。

 

※以下は、PRI—責任投資のビジョン—からの抜粋です。

力を入れる分野:

 ●  責任ある投資家:長期的な価値を追求する責任ある投資家をリードし、インベストメント・チェーン全体の協調を強化、掘り下げ、拡大をしていく

 ●  持続可能な市場:投資家が活動する市場の持続不可能な側面に対処し、責任ある投資家と受益者が必要としている、経済効率性が高く持続可能なグロ ーバル金融システムを実現する

 ●  すべての人々のための真の豊かな世界:現在と将来の世代のための真の豊かさと包括的な社会に貢献できるような投資活動を署名機関ができるように支援する

9つの目標:

1.アセット・オーナーの影響力を強化する

 PRIは、

  • 戦略、政策、受託者能力などの領域から資産配分を含むポートフォリオ・制度レベルの意思決定にいたるまで、組織全体でのESGの組み入れに挑戦する
  • 受益者への責任を果たすために、アセット・オーナーが運用会社やコンサルタントなどを効果的にモニタリングできるようにする
  • 長期的なグローバルトレンドが明日の投資環境をどのようにして形成するのかを示す
  • アセット・オーナーの受益者への義務は、投資のリスク・リターン特性のみならず、受益者の暮らす世界に利益をもたらす意思決定をも含むようにする
2.投資家によるESG課題の組み入れをサポートする

 PRIは、

  • 上場株式や社債・国債など、ESGの組み入れが十分に行われ、浸透率の高い資産クラスにおいて、洞察的知識や実務事例の深みを増すようにする
  • コモディティ、ヘッジファンド、国際機関債、資産担保証券などESGの組み入れがまだ殆ど行われていない新しい資産クラスについて基礎を構築する
  • 既存のESG課題のみならず、新たに登場してくるESG課題に対しても、署名機関の認識と対応を促進する
3.アクティブ・オーナーシップのコミュニティを育成する

 PRIは、

  • すべての資産クラスで積極的な株主としての自身の権利を行使する方法について、署名機関の理解を促進する
  • 投資家の集団としての影響を最大化する協働エンゲージメントを引き続き調整し、協調体制を拡大し、教訓を共有する
  • 責任投資の信念を持って議決権代理行使慣行の支援を促進する
  • PRIコラボレーション・プラットフォームを強化し、活動的な株主のグローバルハブにする
4.説明責任を強化してリーダーシップを発揮する

 PRIは、

  • 責任投資のリーダーシップ審議会とアワードを発足し、トップパフォーマーに報い、トップパフォーマーを強調する
  • 最も成功している署名機関の実施内容例を共有する
  • 署名機関が達成しなければならない活動の最低基準を定義する
  • この基準を満たさない署名機関をモニタリングしてその機関に関与し、2年間基準を満たさない場合は除名する
  • 原則の精神に反する署名機関は除名する
5.責任ある投資家への啓蒙活動を行う

 PRIは、

  • アセット・オーナーの署名機関数を伸ばすべく、全世界でのリクルート活動に注力する
  • 新たな市場と機関にリーチする。これにはアジアの強力な署名機関ベースを確立すること、発展途上市場の署名機関を増やすこと、ヨーロッパ以外では前例のない浸透率を北米で達成することが含まれる
  • 責任投資に新しく着手するアセット・オーナーのためにアソシエートメンバーのカテゴリーを導入し、学習、開発、教育に重点を置く
  • 責任投資トレーニングの範囲を拡大し、PRIアカデミー提供のコースを正式なものにする
6.持続可能な金融システムへの障壁に挑む

 PRIは、

  • 長期的投資パフォーマンスに必要とされる、持続可能な金融システムを整備する上での主な障害に対処する
  • 長期的投資を促進するような金融システム構造への変更を推進する
  • 短期指向を生み出す金融システムにおける行動、慣習、インセンティブに的を絞る
7.市場に意味のあるデータを普及させる

 PRIは、

  • グローバルに比較可能で、将来を見据えた、 意味のある企業開示および投資家の報告を提唱する
  • 重大なESG情報をその他の財務データと共に含めることを推進する
  • 報告基準と運営体制の統合を推奨する
  • 利用可能なデータが効果的に使用されていない状況を理解し、克服に努める
  • 実社会における具体的なESGの改善における責任投資の貢献度を測定できるようなPRI報告フレームワークを開発する
  • PRIデータポータルを強化し、資産運用者の責任投資活動をアセット・オーナーが評価できるようにする
8.気候変動に対する対策を推進する

 PRIは、

  • 国連パートナーと協力してパリ協定を遵守する
  • 企業や発行体、およびそれらのポートフォリオについて、低炭素経済への適切な移行がどの程度可能な状況にあるかを投資家が評価できるようにする
  • PRI報告フレームワークと金融安定理事会の 「気候変動関連の財務情報開示に関するタスクフォース」の整合性をとる
  • 気候のリスクと機会に関して、投資家に企業とのエンゲージメントを呼びかける
  • クリーンなアセットとテクノロジーに十分な資金配分を行うよう投資家に推奨する
  • 各国政府の気候変動目標が投資に与える影響を実証する
  • 政策立案者と協力し、投資家がクリーン投資の規模拡大の際に直面する障壁に対処する
9.SDGsが実現される世界を目指す

 PRIは、

  • 国連パートナーと協力し、UNEP FIのポジティブ・インパクト・ファイナンス原則および国連グローバル・インパクトの10原則などを活用し、持続可能な開発目標(SDGs)を実現する
  • SDGsに沿った投資活動を行えるよう、投資家のために手順を示し、ツールを開発する
  • SDGsを推進する広範なアクティブ・オーナーシップを通して、投資家が企業責任の強化を追求するよう奨励する
  • 実社会にポジティブな影響を与えるプロジェクトへの資本投入を推奨する
  • PRI報告フレームワークにSDGsを導入する
  • PRIの活動をSDGsに照らして計画し、SDGsへの寄与を報告する
  • SDGsを支援する公共政策の奨励に政策立案者の関与を取り付ける


関連ページ:
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QUICK ESG研究所 鈴木敦史、小松奈緒美