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このレポートは、QUICK ESG研究所のパートナーである米グラスルイス社が、同社のブログで公表した内容の一部を翻訳したものです。

世界で注目を集めている株主総会をピックアップし、解説しています。


Signet Jewelers Limited 上場市場:ニューヨーク証券取引所 総会日:6月28日

 ハイテク企業が不適切な行動や文化の限界を超えていこうとしているように見える一方で、実店舗のある昔ながらの小売り部門は問題を抱えている。2008年、Signetは小売店の女性従業員の賃金や昇進に関する不当な扱いについて米国雇用機会均等委員会(EEOC: U.S. Equal Employment Opportunity Commission)から訴訟を起こされたが、2017年5月に和解し、今回の株主総会は和解後に開催された。和解内容には、「賠償責任および犯罪行為は見当たらない」ことが含意されている一方、コンプライアンスや企業理念専門家の任命、差別に関するより一層の従業員トレーニングなど、雇用慣行改善のために取らなければならない措置も含まれた。しかし、EEOCとの和解にもかかわらず、Signetと69,000人の従業員・元従業員の集団訴訟の仲裁は継続中だ。この訴訟では、女性従業員が日常的に嘲笑されたり、侮辱されたりするような差別的な雇用慣行が店舗レベルで存在したと主張されている。審理は2018年に予定されている。

黒田電気株式会社 上場市場:東京証券取引所 総会日:6月29日

 来る黒田電気の株主総会は、2015年に旧村上ファンド系投資会社が、村上世彰氏本人を含む4人の候補者の社外取締役への就任を提案したことに端を発した委任状争奪戦の第2回戦となる。2015年時点で経営陣は、村上氏に対して行き過ぎた反対意見の表明をしていた(特別総会までに、従業員からの反対意見を自社ウェブサイトに公表したが、後に黒田電気の経営陣が作成したものだったことが発覚した)。今回、村上氏の管理下にある候補者は1人だ。村上氏らは、合併案件の増加、自己株買いを通じての株主利益の改善、文書偽造事件に照らしてのコーポレート・ガバナンスの改善に焦点を当てている。株主は、ガバナンスと内部統制の改善に向けた努力が十分であるかどうかを検討しなければならない。具体的には、同社の戦略と資本管理に加え、文書偽造などの不祥事の再発防止策、ガバナンスの透明性の向上、2016年での監査を重視した独立取締役の任命などである。

出光興産株式会社 上場市場:東京証券取引所 総会日:6月29日

 出光興産の株主総会は、創業者である出光家とのさらなる対決の様相を呈している。問題は、昭和シェル石油との合併案である。同社は2017年4月までの合併完了を望んでいたが、出光家からの反対があり、数ヶ月間保留にされている。出光家は33.92%の株式を保有しているため、3分の2以上の承認を必要とする議案に対し、拒否権がある。昨年の代表取締役社長の月岡隆氏は、わずか52.3%の賛成票で再選となった。代表取締役の続投に反対する株主たちはその動きを継続する見通しである。また、会社側が第三者割当増資を実施して出光家の株式持ち分を希薄化しようとするならば、出光家は法的措置を取ると発表した。その点について、会社側はその戦略を断固として進めるように見える。出光興産と昭和シェル石油は、過去1年間で両社の協力関係を強めており、昨年12月には出光興産がロイヤル・ダッチ・シェルから昭和シェル石油の株式を31.3%取得した。同社は昭和シェル石油と統合の有無を意識している中、出光家は激しく反対しているため、相当緊迫した株主総会になることが予想される。

アメリカン・インターナショナル・グループ 上場市場:ニューヨーク証券取引所 総会日:6月28日

 筆者はピーター・ハンコック氏が気の毒でならない。2015年、アメリカン・インターナショナル・グループ(AIG)の元CEOのハンコック氏がカール・アイカーン氏の要求をはねのけた。同社がアクティビストが提案した戦略を遂行しなかった場合、彼の立場が脅かされるからである。ハンコック氏は1年以上にわたり、綱渡りのような危うい状態を続けた後、会社の譲歩とアイカーン氏とポールソン氏による代表者の任命によって、職を追われた。しかし、ハンコック氏の辞任をあまり悪く捉える必要はない。彼の辞任には、舞台裏の出来事よりも、AIGの業績悪化が関係しているように見える。同社は、第4四半期の約30億ドルの損失を発表したが、これは保険金支払準備金を引き上げるために、予想していたよりも高額の56億ドルの費用を計上したことが要因で、この直後、ハンコック氏は辞任している。56億ドルの計上費用のうち約30億ドルはハンコック氏が損害保険部門を担当していた時期のものであり、彼はその経営政策立案に関わっていた。ハンコック氏の辞任後は、ブライアン・デュパロウ氏がCEOに就任することになった。同氏は、以前、ライバルのハミルトン保険グループの社長兼CEOを務めていたが、アイカーン氏はTwitterで同氏のCEO就任を支持している。デュパロウ氏は、アクティビストが主張する会社分割戦略を全て遂行しようとはしていないと述べているが、アイカーン氏の圧力は、数十億ドルの自社株買いと同時に、全面的あるいは部分的な会社分割と新しい「モジュール型」の事業構造をもたらした。

その他の注目すべき会議

  • Mastercard Incorporated(ニューヨーク証券取引所:6月27日)
  • Altice NV(ユーロネクストアムステルダム :6月28日)
  • Mediaset SpA(イタリア証券取引所 :6月28日)
  • 3i Group plc(ロンドン証券取引所 :6月29日)
  • Bed Bath&Beyond Inc.(ナスダック :6月29日)
  • Mobile Telesystems PJSC(モスクワ証券取引所 :6月29日)
  • NH Hotel Group S.A.(Bolsas y MercadosEspañoles :6月29日)
  • パナソニック株式会社(東京証券取引所 :6月29日)
  • PJSC Gazprom (モスクワ取引所 - 6月30日)

By Dimitri Zagoroff

【元記事】
Proxy Season Insider: June 19(GlassLewis)

※2017年7月18日 リンクを修正しました。


QUICK ESG研究所 鈴木敦史、真中克明