RIロゴ
ホワイトハウスの画像

本稿は、レスポンシブル・インベスターの掲載記事をQUICK ESG研究所が翻訳したものです。

 ドナルド・トランプ米国大統領によるパリ協定からの離脱発表にも関わらず、主要機関投資家は協定に引き続きコミットしている。
 以下は、責任投資業界で厳しい非難を受けている米国の離脱発表に対する、主要機関や有力者によるコメントの要約である。

 CalPERS CEO  Marcie Frost氏:
「CalPERSは経済的に意義があると考えるパリ協定を支持している。グローバル投資家であり長期的で持続可能な投資を重視している受託者として、私たちは気候変動に関するパリ協定を引き続き支持していく。パリ協定により、私たちはマテリアルなリスクを管理し、ポートフォリオの投資機会を見出すことが可能となるのだ。パリ協定を支持することは、究極的には我々の受益者、すなわち、その退職後の生活保障に利益をもたらす」

 CalSTRS CEO Jack Ehnes氏:
「米国政府はパリ協定からの離脱を決めたが、CalSTRSは地球規模で長期的な持続可能性を推進するというコミットメントに継続的に取り組んでいく」

 ERAFP Philippe Desfosses氏:
「残念ながら今回の決定は、米国経済に自らの手でマイナスの影響を与えうることを立証することになるだろう。しかし大企業が将来、低炭素化社会への転換に対する投資を継続し、この流れを維持することを期待する」

 Goldman Sachs CEO Lloyd Blankfein氏:
「今日の決定は、環境対策と米国の世界のリーダーというポジションを後退させた(Twitterでの投稿)」

 米国SIF(サステナブル投資フォーラム)  CEO Lisa Woll氏:
「(米国の離脱は)誤った決断であり、環境や我が国の国際的な評価、さらには、活気に満ちた革新的な低炭素化経済へ向けての進捗に致命的な影響を与えるであろう」

 Australian Council of Superannuation Investor(ACSI, オーストラリア退職者投資家協議会) Louise Davidson氏:
「ACSIの会員は、既に低炭素化経済への移行を支援するために投資している。パリ協定は投資家による継続的な支援を保証するための鍵である」

 英国SIF(Social Investment Forums)  Simon Howard氏:
「トランプ大統領は愚かな決断を下したが、我々のメンバーはこの危機において、金融市場がより重要な役割を果たすために、賢明で実践的な取り組みを継続する」
「SIFの支援組織であるGlobal Sustainable Investment Allianceは、米国政府によるこの決定に立ち向かうことで合意した」

 Moody's:
「技術的な進歩を含め、関係機関や民間企業が持続可能な気候変動への取り組みを推進し続けるとすれば、炭素排出量を削減する世界的な流れが停滞することはない。州や地方自治体レベルの政策立案者は、米国を含め、各国の気候変動に対するコミットメントを果たす上でますます重要な役割を担うであろう。このように、低炭素化社会へむけた世界中の関係機関や企業による成果は、引き続きそれらの信用評価に大きな影響を与えるであろう」

 Carbon Tracker CEO Anthony Hobley氏:
「私たちは今回の決定が低炭素化社会への移行を停滞させることはないと考えている。しかし、急速に進む低炭素化への流れに対応せず、既存の戦略への投資を倍増すれば、化石燃料会社や一部の投資家に誤った安心感を与えかねない」

 Aviva Investors Steve Waygood氏:
「グローバルな投資家および保険会社として、政府に対してカーボンニュートラルな経済の実現と、化石燃料への逆戻りは避ける対応を求める。今回の決定は、米国だけではなく、国際社会にとっても財政的かつ経済的な損失を意味している。しかし、これはパリ協定の崩壊を意味しているのではない。米国の立ち位置を明白にすることで、市場は前進できる。EUと中国は、米国離脱により生じる空白を埋めるためリーダーシップを発揮する準備が整っていることを明らかにした」

 Al Gore氏:
「(米国の離脱は)無謀で無責任な行動である。我が国の立場を弱体化させ、人類が気候変動の危機に対応する力を脅かすものである。しかし、トランプ大統領がこの苦境を主導しないのであれば、CEO、市民指導者、市長、市民、一般市民といったアメリカ人が間違いなく主導する。私たちはクリーンエネルギー革命の真っただ中にいる。トランプ大統領が何をしようと、私たちは気候変動の危機を解決するのだ」

 The Institutional Investors Group on Climate Change:
「今こそ、気候変動対応を主導する国々は、パリ協定を支持するという明確な意思を示す時であり、それは、7月のG20サミットが適切なタイミングだ」

 Cares Mindy Lubber氏:
「新しい低炭素化経済に目を向けず、我々の将来を時代遅れの化石燃料への投資に依存させ続けることは、アメリカの競争力に多大なる打撃を与え、国家経済や労働市場の成長に重大な脅威をもたらすであろう」

 As You Sow: 
「この決定は、現職の大統領の最大の失敗として歴史に残るだろう。投資家、金融界、そして世界の有力企業は、健全な地球とそこに暮らす人々への影響はもちろんのこと、豊かで安定した経済に対して気候変動がもたらすリスクの急増を認識している」

 Oxfarm International Winnie Byanyima氏:
「世界最大の二酸化炭素排出国が気候変動への協定から離脱することは極めて不当なことだが、我々は倍の努力をして対応しなければならない」

 ClientEarth Jonathan Church氏:
「(米国のパリ協定からの離脱は)現在および将来世代に大きな損害を及ぼし得る地球環境破壊行為である」

 Michael Bloomberg氏(都市および気候変動の国連事務総長特使):
「Bloomberg Philanthropiesは国連気候変動枠組条約(UNFCCC)へのコミットメントを支え、米国離脱による穴を埋めるため、最大1500万米ドルを拠出する。民主・共和両政党の市長、知事、ビジネスリーダーは超党派で、我々が国連に提出する声明に署名し、2015年に米国がパリで掲げた排出量削減目標の達成に努める」

 Axa Investment Managers Matt Christensen氏:
「中期的には、米国のパリ協定からの離脱の決定は、実態よりも象徴的なものになると考える。この決定は、米国の決断に関わらず推進すると考えられる地球規模での気候変動対策への影響はそれほどでもなく、むしろ、多くの負の影響が米国自体にもたらされると考えている。米国は、貿易交渉が困難になるかもしれない」

 また、Christensen氏は以下のようなシナリオを述べた。

1)パリ協定からの脱退:
 「同協定の第28条によると、締約国は合意発効から3年経過後、協定から離脱可能である。特定の国が離脱することが協定に影響を与えることはない。米国が2016年9月に本協定を批准し、2016年11月4日に発効したため、2019年11月4日以降であれば協定からの離脱を通知できる。オバマ前米大統領が大統領令でパリ協定を批准したため、トランプ大統領も同様に指示を下す必要がある」

2)国連気候変動枠組条約(UNFCCC)からの離脱:
 「パリ協定は国連気候変動枠組条約の下位協定であり、締約全197か国によって協議され、国連気候変動主要協定として合意されたものである。米国は国連気候変動枠組条約の締約国であり、条約からの離脱が可能であるが、それは自動的にその全ての下位協定から離脱することになる。国連気候変動枠組条約からの離脱は、パリ協定と同様の方式で、条約発効の3年後である1994年3月21日以降でなければならない。つまり、(条約発効後3年経過すればいつでも、)全ての締約国は1年間の通知期間をもって離脱できると言うことである。これには議会による支持が必要と考えられる」

RIロゴ

 

 

 

 

【関連ページ】
https://www.responsible-investor.com/home/article/investors_remain_committed_to_paris/(執筆日:2017年6月1日)


QUICK ESG研究所