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 今年の12月に開催予定のCOP21の開催地でもあるフランスが、気候変動対策に向けた大きな一歩を踏み出した。フランス国民議会(下院)は5月21日、フランスの「エネルギー転換法」第48条の改正案を可決した。同法案は続いて元老院(上院)で審議される。同法案が可決されると、フランスの上場企業は年次報告書の中で気候変動の影響による財務リスク、および低炭素戦略の実行により気候変動リスクを低減するための手段に関する情報開示が義務づけられる。

 フランスでは既に企業活動が社会や環境にもたらす影響の年次報告書への記載が法律で義務付けられているが、今回の法改正のポイントは、企業が製造・販売する商品やサービスの利用が気候変動に及ぼす影響、つまり「スコープ3」に関する情報の記載が求められるという点だ。開示すべき情報の詳細は政令によって規定される。

 また、銀行および信用機関に対しては、リスク報告書の中で定期的に実施するストレステストにより明らかになったリスク情報の開示が義務付けられる。さらに保険会社や公的年金基金などの機関投資家は、投資の意思決定プロセスにおいてESG基準をどのように考慮したかに加え、環境やエネルギー移行のための融資に貢献する具体的な手段の開示が義務付けられる。

 その中には、運用資産が抱える気候変動リスクや、国際的な気候変動目標にどのように貢献するか、環境とエネルギー移行の実現にどのように貢献するかについての記載などが含まれる。これらの貢献度は環境法や国の低炭素戦略に沿って機関投資家が自ら設定した目標によって測定され、目標が達成できない場合、その理由の説明が求められるとのことだ。

 元老院での審議によっては若干の文言修正がありうるが、法案はフランス政府が公式に支持しており、今後の立法過程でその実質的内容が変更されることはないと考えられる。

 同法案が可決されれば、フランスは世界で初めて金融機関に対して気候変動関連リスクの開示を義務付ける国となる。一方で、情報開示が気候変動リスク低減のために実効性のあるものとなるには、株主や消費者など情報の受け手のリテラシーや環境意識の向上も欠かせない。これらをどのように担保するのか、今後の具体的な制度設計が注目される。

【参照リリース】2° Investing regulation in France Article 48 of the French Energy Transition Law
【団体サイト】2° Investing Initiative


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