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 プロ野球が開幕し1カ月余りが経過した。ロッテの佐々木朗希投手が日本では28年ぶりとなる完全試合を達成するなど、多くの明るい話題がある一方、選手に新型コロナウイルス陽性者が多く出たチームは試合を中止せざるを得ないなど、興行的には厳しい状況が続いているといえるであろう。今回は、プロ野球チームのESG評価を行ってみたい。

 プロ野球チームといっても、そのチーム自体はスポンサー企業が運営している事業体であるので、ここではスポンサー企業のESG評価を行い、ESGスコアによる順位予想をしてみよう。プロ野球チームのスポンサー企業は以下の通りである。

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 上記のスポンサー企業の中には上場していない企業があるため、当該企業が属するグループの中で上場している企業を対象とする。セ・リーグでは読売ジャイアンツの読売新聞グループ本社が上場していないため、同社および関連会社が約25%の株式を保有し、上場している日本テレビホールディングス株式会社のESGスコアを使用する。また、広島東洋カープのスポンサーである松田家はマツダ株式会社の創業家一族で個人株主であるため、マツダ株式会社のESGスコアを使用する。

 中日ドラゴンズのスポンサーである株式会社中日新聞社は上場していない。同社の関係会社を調べてみたが、上場している企業を確認できなかったため、残念ながら今回のセ・リーグ順位予想から中日ドラゴンズは除くことにする。

 パ・リーグでは、千葉ロッテマリーンズの株式会社ロッテホールディングスが上場していないため、韓国で上場しているロッテ・コーポレーションのESGスコアを使用する。埼玉西武ライオンズの西武鉄道株式会社は、上場している親会社の株式会社西武ホールディングスのESGスコアを使用する。

 世界の企業のESGデータを収集・開示するプラットフォームである「ESGブック」では5月から非上場企業も開示できるようになる。中日新聞社や球団にはESGブックで情報を入力・開示してもらい、ESGスコアを算出できることを期待している。

 欧州ではプロ・スポーツチームがESG情報を開示する動きが出てきている。そのようになれば、スポンサー企業のESGスコアではなく、チームのESGスコアも出せるようになる。日本でも進めば、プロ・スポーツチームを勝敗で評価するだけでなく、地球環境(E)や従業員、地域社会(S)そしてガバナンス体制(G)を評価できるようになるので、各チームのファンも応援する気持ちが強まるのではないか。

 両リーグのESGスコアによる順位をリーグごとに(表3)と(表4)にまとめた。本寄稿の執筆時現在の4月26日時点の実際の順位を併記した。

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 開幕からまだ1カ月余りだが、セ・リーグ、パ・リーグともにESGスコア上位のチームが、実際の順位も良い傾向を示しているように見えなくもない。業種ではスポンサーが鉄道系の2チームはESGスコアが低い傾向にある。特にガバナンスが低いので、改善が望まれる。アラベスクS-RayのESGスコアは毎日算出される。一方、プロ野球の順位もシーズン中、日々目まぐるしく変わる。シーズン終了後に改めて各チームのESGスコアと実際の順位をチェックしてみたい。

(アラベスクS-Ray社日本支店代表 雨宮寛)


雨宮 寛(あめみや・ひろし)
アラベスクS-Ray社日本支店代表。アラベスク・グループの日本事業の責任者。アラベスク以前は外資系金融機関で運用商品の開発に従事。CFA協会認定証券アナリスト。一般社団法人日本民間公益活動連携機構アドバイザー、明治大学公共政策大学院兼任講師。NPO法人ハンズオン東京副代表理事。ハーバード大学ケネディ行政大学院(MPA)、コロンビア大学経営大学院(MBA)。