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 本稿は、レスポンシブル・インベスター(RI)の掲載記事をQUICK ESG研究所が翻訳、編集したものです。

 国際会計基準の策定を担うIFRS財団とグローバル・レポーティング・イニシアチブ(GRI)はそれぞれの基準審議委員会の活動を擦り合わせることで企業の報告作業の負担を減らし、サステナビリティ関連情報の開示フレームワークの協調に向けて取り組むことを決めた。

 3月24日に公表された覚書によると、両者は作業計画、用語、ガイダンスを可能な限り統一するとしている。

 また、サステナビリティ報告の活動に関する審議会に相互参加することも明らかにした。

 両者はこうした連携を通じて、国際的なサステナビリティ報告における2つの「柱」を打ち立てたい考えである。

 両者は声明で、「第1の柱は国際サステナビリティ基準審議会(ISSB)が投資家向けに策定したIFRSのサステナビリティ開示基準である。第2の柱はグローバル・サステナビリティ基準審議会(GSSB)がマルチステークホルダー向けに策定したGRIのサステナビリティ報告要件となる」と説明している。

 GSSBはもともと2015年にGRIが設立したのに対し、ISSBは昨年11月にIFRSが発足させた機関である。

 ISSBの設立に伴い、企業のサステナビリティ報告基準の策定に取り組んでいる既存機関である気候変動開示基準委員会(CDSB)と価値報告財団(VRF)が2022年6月までに統合されることもすでに明らかにされている。

 またISSBは、サステナビリティが企業価値に及ぼす影響に焦点を当てたアプローチ(訳者注:シングルマテリアリティ)をとる方針である。

 GRIの広報担当者はRIの取材に対し、GRIは企業が環境や社会に及ぼす影響も反映させるダブルマテリアリティに基づく情報開示を全面的に支持すると回答した。

 また、「GRIとIFRSは今回交わした覚書により、企業によるサステナビリティ関連情報開示における2つの柱の構築に向けて取り組むことになる。第1の柱は財務マテリアリティで、ISSBが新たな開示基準を策定する。第2の柱はインパクト・マテリアリティで、GRIの基準が適用される」と説明している。

 さらに「総じて、ダブルマテリアリティに基づく情報開示を実現するためにはこれら2つの視点の両方が不可欠である。今回の覚書を通じて、IFRS財団が2つのアプローチは等しく重要であるとの考えに同意したことは非常に大きな意味を持つ」とも指摘している。

 ダノンの元CEOで現在はISSB議長を務めるエマニュエル・ファベール(Emmanuel Faber)氏は、「企業価値の評価にインパクトを組み入れようとする場合、ISSBとGSSBの両方の基準を適用することで完全かつ矛盾のないサステナビリティ関連情報の開示を行えるようになる。今回の合意は、2つの基準策定機関がその目的に向けて協調する姿勢を示したものである」と述べている。

 目下のところ、企業価値(訳者注:財務マテリアリティ)を重視するアプローチとダブルマテリアリティのアプローチのいずれをとるべきかについて市場の見解は分かれている。

 今月も、ニュージーランドの報告機関が気候変動関連の情報開示にあたって「企業価値の視点からマテリアリティを定義する」との意向を示したのに対し、自然関連財務情報開示タスクフォース(TNFD)はダブルマテリアリティを重視する姿勢を明らかにしたばかりである。

 欧州委員会も、近々公表する企業サステナビリティ報告指令(CSRD)でダブルマテリアリティの考えを支持するとみられる。それに先立ち、欧州証券市場監督局(ESMA)は新たな指令はISSBから「いたずらに逸脱」すべきではないと勧告している。

 ISSBは近々、気候および全般的なサステナビリティ関連情報の開示基準案を公表する意向である。


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【参照】
Responsible Investor, Gina Gambetta「IFRS Foundation and GRI to align the activities of their standard-setting boards」2022年3月24日(2022年3月31日情報取得)


QUICK ESG研究所