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 本稿は、レスポンシブル・インベスター(RI)の掲載記事をQUICK ESG研究所が翻訳、編集したものです。

 ドイツ銀行は融資先企業のスコープ1および2の二酸化炭素排出量を初めて公表し、融資先企業のうちわずか1%がポートフォリオ全体の排出量の70%を占めていることを明らかにした。

 ドイツ銀行は金融向け炭素会計パートナーシップ(PCAF)が策定した会計報告基準を採用し、2021年末時点の融資先企業のスコープ1および2排出量は3,080万トンであるとしている。その3分の2超を占めているのが石油・ガス、公益事業、鉄鋼・金属・鉱業の3セクターである。同行の融資先企業の排出量の3分の1を占める石油・ガス企業に対する融資額は82億ユーロ、4分の1を占める公益事業企業への融資額は45億ユーロ、11%を占める鉄鋼・金属・鉱業関連企業は43億ユーロとなっている。これら3つのセクターは同行の企業向け融資の16%、融資全体の3.5%を占めている。

 ドイツ銀行は今後融資ポートフォリオの再構築を進め、「先進的な」脱炭素計画を策定している企業や炭素集約度の低い技術の導入に取り組む企業への融資を増やすとする一方、企業がパリ協定に準じた脱炭素計画を策定できるよう支援することが同行の「サステナビリティ戦略の中核的要素」であるとしている。

 ドイツ銀行の脱炭素計画は、「グリーン」や「サステナブル」のラベルの付いた金融商品や脱炭素へ移行するための事業に資金を提供するトランジション・ファイナンスも重視している。同行は既に顧客にグリーンローンやサステナビリティ・リンク・ローンを提供しているほか、RIのみるところ、サステナブル・ファイナンスの枠組みを拡大してトランジション・ファイナンスを組み入れる手続きも進めている模様で、今年後半にも新たな枠組みをスタートさせる見通しである。

 ドイツ銀行は長年にわたり融資先企業の排出量に関する独自データの計測・評価を続けてきたが、最近になってようやくデータを公表に値すると確信したものとみられる。今年末をめどにスコープ3と「促進排出量(facilitated emissions)」〔訳者注:帳簿上に記載のないオフバランスのサービスやフローの取引といった、従来の投融資先企業の排出量(financed emissions)と異なる概念〕の公表も行う可能性が高いが、「促進排出量」についてはPCAFの基準をめぐる協議が進行中である。

 ドイツ銀行は、既に北極圏での新たな石油・ガスやオイルサンド開発事業への融資を行わない方針を明らかにしているほか、新たな石炭発電事業も融資対象から除外している。また、石炭火力の電源構成比が50%を超えるエネルギー企業への融資を見直し、それらの企業に確実な電源多様化計画の策定を促すことで2025年までに石炭火力事業からの完全撤退を達成したい考えである。


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【参照】
Responsible Investor, Dominic Webb「Deutsche Bank publishes scope 1 and 2 emissions for corporate industry loan book」2022年3月4日(2022年3月15日情報取得)


QUICK ESG研究所