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 本稿は、レスポンシブル・インベスター(RI)の掲載記事をQUICK ESG研究所が翻訳、編集したものです。

 英国鉄道年金の運用部門であるレイルペン(Railpen)(総運用資産額350億ポンド)は、来年投資先企業が取締役に従業員を指名した場合、それを支持する考えがあることを明らかにした。

 レイルペンは今年、気候変動対策の移行や議決権などいくつかの分野で自らの立場を強める取り組みを進めてきたが、従業員の取締役就任もその1つに挙げられる。

 レイルペンは12月13日に発表した2022年の議決権行使方針で、他の投資家や企業と連携して「米英企業で従業員代表の取締役はどのような条件下で力を発揮できるか」について意見や見通しをまとめる意向も示した。

 また、従業員の視点を持つ人物が取締役に加わることで「株主、経営陣および労働者の利害の長期的な擦り合わせが可能になる」としている。さらに「投資先企業で従業員が取締役に任命される場合は賛成票を投じる方向で検討する。ただし、取締役となる従業員の選任・継続が思慮深い方法で行われ、当該従業員が適切なスキルと経験を備えていることが条件となる」と説明している。

 新たな方針では、レイルペンが先に発表した「2050年ネットゼロ宣言」との整合性をとるため、決議事項に反対および棄権の意思表示を行ったり、必要であれば取締役の任命に反対票を投じたりすることで、企業の気候対策に厳しく対処するとしている。さらに企業の気候変動対策の移行計画については「支持するかどうか慎重に見極める」とも述べている。

 「我々は投資先企業の気候リスクに加えてネットゼロ目標との整合性を評価した上で、議決権を使って企業側のアプローチと事業活動を支持するか否かの意思表示を躊躇することなく行う構えだ」とレイルペンのサステナブル・オーナーシップ部門トップのマイケル・マーシャル(Michael Marshall)氏は話している。

 取締役の多様化はレイルペンが取り組みの強化を目指しているもう1つのテーマであり、 2022年以降はまず英国と米国の投資先企業に焦点を当て、「最大手かつ最有力の企業の取締役会メンバーに民族的な多様性を象徴する人物が1名も含まれていない場合」は当該企業の指名委員会議長の選任に反対票を投じる可能性があるとしている。また、将来は他の市場にもこの方針を広げることも視野に入れている。

 英国の資産運用会社シューローダー・インベストメント・マネジメントも同様の行動を起こす計画であると報じられている。同社は今年既にFTSE100指数の構成銘柄である企業の取締役会に宛て、取締役に少なくとも1名の有色人種を起用していない場合は指名委員会議長の選任に反対票を投じると警告する文書を送付している。

 パンデミック下では年次株主総会を「バーチャルのみ」で済ますことが標準化しつつあるが、レイルペンは新たな方針で対面での開催が望ましいとの考えを強調している。その理由として、対面による総会は「取締役会が公開で株主に対する説明責任を果たすという重要な場を提供する」ことを挙げている。

 また、不平等な議決権は「レイルペンのような少数株主が企業の説明責任の監視する力を削ぐものだ」として反対を表明している。

 ノルウェー政府年金基金の運用を担うノルウェー中央銀行投資運用局(NBIM)はアセットオーナーのスチュワードシップ責任に準じ、今年株価指数に組み入れられた442銘柄についてサステナビリティをテーマにスクリーニングを行った結果、43銘柄の保有株式を全て売却し、9銘柄は投資対象外とする一方、63銘柄についてはエンゲージメントを継続することを明らかにした。

 NBIMは、エンゲージメント対象とする企業の大部分は「小規模企業で、多くは最近上場を果たした」と説明している。NBIMの広報担当者は企業名を公表しない方針を明らかにした。


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【参照】
Responsible Investor,  Paul Verney「Railpen to consider backing workers on boards as part of 2022 voting policy」2021年12月14日(2021年12月28日情報取得)


QUICK ESG研究所