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 QUICKリサーチ本部ESG研究所は環境・社会・企業統治の課題への取り組みを重視するESG投資やエシカル(倫理的)消費に対する個人の意識を年代別に明らかにするため、「サステナビリティ意識調査2021」を初めて実施した。日経リサーチに登録しているモニターの中から20代から70代まで10歳刻みで年代別に男女それぞれ250人以上になるように募集し、ウエブサイト上の「アンケートフォーム」を通して3056人から回答を得た。調査期間は2021年7月16~20日。

 調査では、SDGs(持続可能な開発目標)や地球温暖化、ESG投資に関する認知度に加え、サステナビリティ課題を環境、社会、企業統治の10項目に分けて、課題解決に努力している企業の商品・サービスを購入したいか、そういう企業に投資したいかどうかを尋ねた。その結果、20代のSDGs・サステナビリティ課題への関心は相対的に低いことが明らかになった。ESG投資の認知度は低く、リターンとの関連性など情報が不十分なこと、投資リターンよりもESGを優先する人々は人権など社会課題に関心があることなどがわかった。以下に主な調査結果のポイント。

■最も大切だと思うSDGsの目標は世代間でばらつき

 国連の提唱するSDGs17目標のうち、最も大切だと思うものを1つ選ぶ設問では、Goal 3(すべての人に健康と福祉を)が全世代で上位2位以内、Goal16(平和と公正をすべての人に)も上位4位以内に選ばれた。一方、Goal13(気候変動に具体的な対策を)は40代以上で上位3位に入ったが、40代以下ではGoal1(貧困をなくそう)が上位2位以内となる。また、20代や30代では、Goal 7(エネルギーをみんなにそしてクリーンに)、Goal 10(人や国の不平等をなくそう)、Goal 11(住み続けられる街づくりを)が上位に入るなど、世代間でばらつきが見られた。

■20代のSDGsや地球温暖化への関心は相対的に低い

 「SDGsを初めて聞いた・知らない」と回答した人の割合は全体で18.6%。世代別では20代が23.1%と最も割合が高い。地球温暖化の影響がすでに起きていると回答した人は全体の52.9%で、世代が上がるほど回答した人の割合が高くなった。一方、20代の37.5%は地球温暖化の影響はまだ起きてないと認識し、今すでに起きているとの回答(35.6%)を上回った。

■ESG投資の認知度は低く、リターンとの関連性など情報が不十分

 ESG投資をすでにしている人は3.1%。聞いたことがある、と答えた人を含めても、ESG投資の認知度は17.7%。今後ESG投資をしてみたいと答えた人は全体の39.1%だった。ESG投資に関心のある人の理由は、「環境や社会にとって良いことをしたいから」と「自分のお金が悪いことに使われたくないから」の合計が56.2%で、リターンにつながることを理由に挙げたのは15.6%にとどまった。

 ESG投資に関心がない人の理由は、「リターンとの関連性が分からない」が37.6%、「金融商品のESG情報が少なくて判断できないから」が25.2%と、投資を判断する情報が十分でないといった回答が目立った。

■投資リターンよりもESGを優先する人々は人権など社会課題に関心

 サステナビリティ課題別にみると、投資リターンよりもESGを優先する「ESG投資選好群」では、人権が1位。男女別・世代別では、男女ともに、20代では生物多様性だが、30代~50代では人権が1位となるなど社会課題に関心が集まった。

 リターン次第でESG要素に配慮する「ESG投資検討群」では、水が1位、次いで森林、生物多様性と主に環境関連課題が上位となった。男女別、世代別では、30代以上の男性の上位1~3位、20代~60代女性の1位は全て環境課題となった。

■サステナビリティ課題への取り組みにプレミアムを支払うのは全体の2割

 企業のサステナビリティ課題への取り組みにプレミアムを支払う「エシカル消費先進群」の割合は20.4%。世代別にみると、70代が23.2%と最も高く、次いで20代(22.3%)となり、50代が最も低く、投資と同じく緩やかな「くの字」型の傾向が確認できる。

 「同じ値段なら努力している」企業を選ぶ、購入時にサステナビリティを一定程度考慮すると答えた「エシカル消費検討群」は全体平均で47.8%、70代が61.1%と最も高く、世代が下がるほど低くなる。一方、エシカル消費の関心が弱い(「取り組みに関係なく安い方を買う」、「そういったことは考えない」)人が最も多いのも20代(41.5%)。

■サステナビリティ課題への取り組みにプレミアムを支払う女性の関心は生物多様性

 企業のサステナビリティ課題への取り組みにプレミアムを支払う「エシカル消費先進群」は、50代以上では男性より女性の方が環境課題を選ぶ傾向が強い。女性は生物多様性への関心が高く、20代と30代で1位、40代と50代、70代で2位となった。

 「同じ値段なら努力している」企業を選ぶ、購入時にサステナビリティを一定程度考慮すると答えた「エシカル消費検討群」は、男性の20代~40代では社会課題、50代~60代では環境課題が多くなり、先進群の傾向と逆になった。女性でも、全世代を通して社会課題が上位を占めた。

 

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