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 本稿は、レスポンシブル・インベスター(RI)の掲載記事をQUICK ESG研究所が翻訳、編集したものです。

 国際NGO「World Benchmarking Alliance (WBA)」が新たに開発した指標を使って世界大手の食品および農業関連企業350社のパフォーマンスを評価したところ、重大な人権問題をどのように認識、評価し、対策を講じているかについて情報開示していない企業が90%超に上ることがわかった。

 WBAは、農場から食卓に至る食品のバリューチェーン全体を評価する初めての指標とする「食品・農業ベンチマーク」に基づき、環境、栄養および社会にもたらすインパクトを持続可能な開発目標(SDGs)の観点から350社に対しランク付けを行った。

 WBAは英保険会社アビバ、国連財団、オランダのNGO「Index Initiative」によって2018年に設立され、SDGsに基づき企業のパフォーマンスを評価するためのベンチマークの開発を担っている。

 食品・農業ベンチマークで上記350社のパフォーマンスを評価したところ、300社を超す企業が強制労働撤廃に向けた取り組みが不十分であり、202社は児童労働撲滅のための対策も講じていない疑いがあるとわかった。

 環境をめぐる企業の取り組みも批判の対象となっている。WBAによると、気温上昇を1.5℃に抑えるとするパリ協定の目標を踏まえ、科学的根拠に基づき自社の直接の事業活動による温室効果ガス排出量(スコープ1および2)の削減目標を定めている企業は26社にとどまっている。

 また、食品企業の排出量の80%近くをスコープ3が占めているにもかかわらず、大手の食品企業のうち200社超はスコープ3の排出量を公表しておらず、「ましてや削減目標など設定しているはずもない」とWBAは指摘している。

 こうした結果は憂慮すべきだが、楽観視できる理由もあると、WBAの食品・農業トランスフォーメーション部門トップのヴィクトリア・デ・ブルボンデパーム(Viktoria de Bourbon de Parme)氏は説明する。

 「ユニリーバ、ネスレおよびダノンがトップにランクされたことは、興味深い。3社の取り組みはなお改善の余地があると思われるが、企業が世論の圧力にさらされた場合には、そのポジションが前向きな変化をもたらす原動力となり得るからだ」と同氏は述べている。

 今回のベンチマーク発表のわずか数日後の9月23日からは「国連食料システムサミット」の開催が予定されていた。サミットの目的は、「各国政府、支援団体、地域社会、企業が参加する様々な会議を通じて世界の食料システムの変革を促す」ことになる。

 WBAはまた、21日に自らが開発した「種子アクセスインデックス」に基づく評価結果の概要を公表した。同指数は、世界の代表的な種子企業が小規模農家の生産性向上のために行っている取り組みを評価・比較するものである。

 さらにWBAは今後数ヵ月以内に、「シーフード・スチュワードシップ・インデックス」に基づく評価と(自動車、石油・ガスおよび電気公益セクターの)「公正な移行」に関する評価に加え、「デジタル・インクルージョン・ベンチマーク」に関する2回目の評価結果も公表する予定である。


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【参照】
Responsible Investor,  Gina Gambetta「Most food and agriculture giants are failing on human rights and emissions, says WBA」2021年9月21日(2021年10月4日情報取得)


QUICK ESG研究所