crowd
RI_logo

 本稿は、レスポンシブル・インベスター(RI)の掲載記事をQUICK ESG研究所が翻訳、編集したものです。今回は人権NGO「Business and Human Rights Resource Centre」、英調査機関「EIRIS Foundation」、人権分野の機関投資家イニシアチブ「Investor Alliance for Human Rights」、責任投資を推進する英NGO「ShareAction」とその傘下にある「Workforce Disclosure Initiative(WDI)」、SDGsを推進する国際NGO「World Benchmarking Alliance(WBA)」による寄稿です。

 我々は、投資家とともに社会的公正の実現に向けて率先して取り組んできた。我々はこの分野の有力組織のグループとして、環境だけでなく社会的課題にも同等に配慮した投資を行う時が来ていることを投資家に提言したい。

 我々は、EUが国際的な社会・人権規範に基づく「ソーシャルタクソノミー(社会タクソノミー)」の開発に着手したことに加え、製品や業務慣行に関してそれがステークホルダーグループに及ぼす影響を強く支持している。ソーシャルベンチマーク基準を通じて活動しているWBAとWDIは、環境対策に比べてより複雑になりうる社会的課題への取り組みについて、投資家や企業は進捗状況を評価することが可能であると既に示している。

 EUにとってタクソノミーの策定は、社会的課題への望ましい対応について、明確な世界基準を設けるための好機となる。それは、社会的に有益な企業に新たな投資を呼び込み、投資家や企業が保有する資産の社会的な質を向上するための規範の強化につながる。

 その策定は喫緊の課題であり、先延ばしはできない。例えば、脱炭素社会への公正かつ迅速な移行を進めるためには、その影響を受ける人々とコミュニティを公正に扱い、新たな機会を提供する必要がある。

 我々はこれまでの取り組みを通じて、進歩的な投資家がそうした意思を持ち、投資家および企業は社会的価値の増進と悪影響の最小化を図る責務を明確に負っていると認識している。

社会タクソノミーの範囲と環境タクソノミーとの関連性

 我々は、社会タクソノミーの対象が、基本的な社会ニーズだけではなく、全てのセクターの社会および人権に関する目標への貢献をも含んでいることを支持する。

 我々は、EUのサステナブルファイナンス・プラットフォームに対して、社会タクソノミーと環境タクソノミーの統合と相互補完を求めている。「環境の観点からみて健全な」事業活動であっても、労働環境が劣悪であったり、顧客やコミュニティに害を及ぼすものであったりすれば持続可能とはいえない。社会の発展は、健全な地球環境なくしては実現しない。よって我々は、環境タクソノミーで定められている既存の最低限の社会的セーフガードをさらに拡張した「Do No Significant Harm(DNSH、著しい害を及ぼさない)」という基準と、それが社会タクソノミーと環境タクソノミーの両方に適用されることを支持する。

水平の次元(プロセスと実践)
  • 生活賃金、労働時間および不安定な労働への対処をめぐる最低基準を引き上げるほか、DNSH基準における人権デューディリジェンスとコア労働基準への期待を明示し、人権デューディリジェンスが包括的かつ野心的な要件となるようにする必要がある。
  • 実質的な貢献の基準策定にあたっては、民族性やその他のアイデンティティー特性に加え、性別も対象に含めた上での機会創出と、ダイバージョンおよびインクルージョンの推進をより重視する必要がある。
  • コミュニティに関する提案は、経済面の公正な移行に焦点を絞るべきである。
垂直の次元(製品とサービスがもたらす影響)
  • 実質的な貢献の基準策定にあたっては、製品/サービスのアクセス可能性、利用可能性、受容性および質(AAAQ)が基本的ニーズを満たしているか否かを、欧州だけでなく世界レベルで分析する必要がある。
  • 著しい害を及ぼす製品かどうかの判断は、製品が悪影響をもたらしていることを示す明確な証拠や、当該製品の使用が国際協定および規範に違反しているという事実に基づくべきである。また、製品の過剰使用が害を及ぼしている場合は、そうした害を避けるために企業が取るべき対策を定める必要がある。
  • 我々は、サプライチェーンの適正な社会的基準の確保を社会的課題(水平の次元で対処すべき)として持つ新興国で生産された製品の全面禁止は支持しない。ここでいう社会的課題とは、製品の及ぼす影響のことではない。
ガバナンス
  • 我々は、贈賄/腐敗防止、責任あるロビー活動、公平な課税提案を支持する。
  • タクソノミーは、企業の社会的目的の明示と、根幹に社会への配慮(協調やその他の社会経済の手段)を組み入れたビジネスモデルに投資することを促すべきものである。

RI_logo

【参照】
Responsible Investor, BHRRC, EIRIS Foundation, IAHR, ShareAction, WBA「The NGO position on the EU’s proposed social taxonomy」2021年9月2日(2021年9月13日情報取得)


QUICK ESG研究所