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 本稿は、レスポンシブル・インベスターの掲載記事をQUICK ESG研究所が翻訳、編集したものです。

 米NGOの「As You Sow」は、S&P500採用銘柄の「人種平等スコアカード」に環境レイシズム(訳者注:マイノリティが多く住む地域に環境汚染源となる迷惑施設が押し付けられる状況)に焦点を当てた4つの指標を新たに組み入れると発表した。

 米国に拠点を置く株主保護NGOのAs You Sowが今年3月に立ち上げた人種平等スコアカードの評点は、もともと22の主要評価指標で構成されていた。同NGOが企業に直接エンゲージメントし、企業の方針や業務慣行によって助長されてきた構造的人種差別を根絶するためのキャンペーンの一環として始めた。環境レイシズムに焦点を当てる4つの新たな指標は、①企業による環境法令違反②2015年以降に支払った罰金および受けた処罰③主力製品およびサービス④企業の対応措置―である。

 「構造的人種差別は企業の役員室内にとどまらず、構築された社会環境に浸透している」とAs You Sowで人種間平等イニシアチブマネジャーを務めるオリビア・ナイト(Olivia Knight)氏は述べている。

 今回のランキングをみると、全体で39の企業のスコアがゼロを下回り、「これらの企業が有色人種コミュニティに及ぼした害が、自らが講じた積極的差別是正措置では埋め合わせられないほど大きいことを示している。このスコアを通じ、環境レイシズムが企業の人種差別の中核要素であることがわかる」とAs You Sowはコメントしている。

 中でも、石油メジャーであるエクソンモービルのスコアは「最下位」に沈んだ。低スコアとなった原因の1つは、同社の製油所の1つが、住民の95%をアフリカ系アメリカ人が占めているテキサス州ボーモントで少なくとも135種類の有毒化学物質を放出したことにある。

 RIが同社の報道官にAs You Sowのスコアカードについて質問したところ、「エクソンモービルはこれまで平等、マイノリティによる当社事業への関与、マイノリティの教育、マイノリティ主導の事業開発などを熱心に支援し、(中略)1990年代末から続けてきたマイノリティへの慈善寄付金は合計で4億2000万ドルを超えている。そのうち1億ドル近くはアフリカ系アメリカ人の問題解決や組織支援に使われている」との回答を受け取った。

 化学品製造大手のイーストマンケミカルも、スコアの低さが際立っていた。同社子会社のタミンコ(Taminco)が「ガン回廊」と呼ばれるルイジアナ州セントガブリエルで所有・運営していたプラントでの事業活動が影響している。

 石油精製大手のバレロ・エナジーも、以前発表したテネシー州メンフィスにある同社の精製所と湾岸を結ぶパイプライン計画によって評価を落とした。その計画ルートは、白人が圧倒的に多く居住する郊外の住宅地を避けて北側に迂回し、「黒人居住者が97%を占める」南西区域を直線で7マイル縦断するというものだった。

 RIはイーストマンケミカルとバレロ・エナジーにコメントを求めたが、いずれからも回答は得ていない。

 上記3つの銘柄を全て保有している機関投資家にはエスエスジーエー・ファンド・マネジメント、ブラックロック、キャピタル・リサーチ・アンド・マネジメント、バンガードも含まれる。いずれもRIの取材に対し、個別保有銘柄についてのコメントを差し控えると回答したが、バンガードは「当該企業の取締役会が社会的リスクの監視および管理に全面的にエンゲージメントし、情報を把握することを期待する」とコメントした。

 ナイト氏は、「企業に環境レイシズムの助長につながる事業活動への責任を負わせるためには、有色人種コミュニティを不当に苦しめている企業活動の存在とその影響範囲を特定し、認識する必要がある。我々のスコアカードを活用することで、株主、顧客をはじめとする全てのステークホルダーは企業に継続的な人種的正義の責任を負わせることができる」と述べている。


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【参照】
Responsible Investor,  Gina Gambetta「Environmental racism added to As You Sow’s racial justice scorecard」2021年8月11日(2021年8月27日情報取得)


QUICK ESG研究所