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 本稿は、レスポンシブル・インベスターの掲載記事をQUICK ESG研究所が翻訳、編集したものです。

 米ニューヨーク州金融サービス局(DFS)は州内に拠点を置く銀行やその他の金融機関に対し、2021年秋までに自社の取締役会メンバーと経営幹部のジェンダー、人種・民族別の構成比を報告するよう要請した。

 同局は1年後の2022年に集計したデータを公表するとしている。

 今回のDFSの指令は、総資産額が1億ドル超の銀行と預金取扱金融機関以外の金融機関のうち総収入が1億ドルを超える機関(アセットマネジャー、年金基金、融資業者などが含まれる)に向け、2021年7月29日付で発行された。

 DFSのリンダ・レースウェル(Linda Lacewell)局長は声明で、このイニシアチブは当局が金融業界における多様性とインクルージョンの取り組みをサポートする上で「最善の方法」であると述べた。

 そして「こうした情報を公表することで、金融機関は競合他社と比較して自らの立ち位置を評価することができ、それが業界全体のレベル引上げにつながることを望んでいる。透明性と説明責任が変化を促す推進力となる」と結論づけた。

 レースウェル局長は、多様性の向上が高い収益性につながっていることを示す複数の調査結果を示し、このテーマを推進する当局のスタンスを正当化した。

 DFSは2021年3月16日、保険料収入が1億ドルを超える監督下の保険会社に対しても同様の要請を行っている。2021年秋にはこの分野のデータを集計し、公表する予定である。

 JOハンブロキャピタルマネジメント傘下のエシカル投資部門であるRegnanが2021年7月に公表した調査結果は「多様性を示す指標ばかりを重視して公平性やインクルージョンに目を向けなければ逆効果にもなり得る」ことを示している。

 分析結果によると、多様性の重要業績評価指標(KPI)ばかりが強調されれば、マイノリティグループは「無関心もしくは敵対的な環境下で同調を求められ、意にそぐわない行動をとる」よう強いられかねない。

 また「そうした人々が十分に貢献できず、多様性がもたらすビジネス利益が得られない場合、彼らが代表する個人やグループに対する信頼が不当に傷つけられることになる。それは多様性の実現に向けた一般的事例にも悪影響を与え、将来の取り組みに対する不信感が増しかねない」とも指摘している。


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【参照】
Responsible Investor,  Khalid Azizuddin「New York regulator gives banks and investors autumn deadline to produce diversity data」2021年7月30日(2021年8月13日情報取得)


QUICK ESG研究所