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 本稿は、レスポンシブル・インベスターの掲載記事をQUICK ESG研究所が翻訳、編集したものです。

 畜‌産‌業‌関‌連‌投‌資‌家‌イ‌ニ‌シ‌ア‌チ‌ブ「Farm Animal Investment Risk and Return:FAIRR」が潘基文(Ban Ki-moon)国連前事務総長と共同でとりまとめた投資家グループ(運用資産総額は5兆ドル)が、G20参加国に対し、COP26(第26回気候変動枠組条約締約国会議、2021年11月開催予定)までに各国のNDC(国が決定する貢献、Nationally Determined Contributions)で農業由来温室効果ガス削減量の具体的な目標を開示するよう求めている。

 リーガル・アンド・ジェネラル・インベストメント・マネジメント(LGIM)やCanada Post Pensionなどが参加する同グループは「Where’s the Beef」と題する声明の中で、FAIRRによる調査結果を引用している。具体的には、世界全体の温室効果ガス排出量の3分の1は農業由来であるにもかかわらず、「G20参加国のうちNDCに国としての明確な農業セクターの排出量削減目標を盛り込んでいる国はなく」、他の排出量の大きいセクターとは扱いが異なっていると述べた。

 また国として明確な目標を定めなければ、「農業関連企業による気候対策の意欲をそぐ」ことにつながりかねないと主張している。さらに、「パリ協定の目標を達成するためには、世界の農業サプライチェーンの温室効果ガス排出量を削減することが不可欠である」と強調した。

 FAIRR創設者でコラーキャピタルの最高投資責任者(CIO)も務めるジェレミー・コラー (Jeremy Coller)氏は「畜牛は新たな石炭である」とし、「投資家が目的地を知らされなければ、路頭に迷う可能性がある。目的地への道筋を示すロードマップなしに排出量削減に取組むことは非効率であるだけでなく、ネットゼロ社会に向けた公正かつ公平な移行を切望する投資家や企業に大きなダメージを与えかねない」と述べた。

 また、「各国政府はリーダーシップを発揮し、自国の気候への誓いの中で農業部門の枠をどの程度区別しているのか明らかにするチャンスである。資本市場はそうしたデータを求めている」とも指摘した。

 同グループは各国が具体的な目標設定に加え、人の健康増進につながる、より健全かつ持続可能な食料への移行を促しつつも、プラネタリー・バウンダリー(地球環境の限界)を超えることのない枠組みを策定するよう促している。例えば、より持続可能なタンパク源の選択肢を盛り込むことなどである。

 そして、より多くの投資家に声明への署名を呼び掛けている。

 レスポンシブル・インベスターは2021年4月の記事で、FAIRRと米NPOのCeresが中心となって立ち上げた別の投資家イニシアチブ(資産運用総額は11.4兆ドル)がファストフードの巨大企業6社に対して2年にわたるエンゲージメント活動を行い、企業側がその要求に屈して気候問題へのコミットメントを強化したケースを紹介している。


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【参照】
Responsible Investor, Gina Gambetta「‘Cows are the new coal’ - Investors call on governments to step up agricultural emissions targets」2021年6月30日(2021年7月6日情報取得)


QUICK ESG研究所