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 本稿は、レスポンシブル・インベスターの掲載記事をQUICK ESG研究所が翻訳、編集したものです。

 厳しいESG報告義務は、ESGをめぐる不祥事発生リスクを軽減し、株価が急落する確率を18%引き下げられるとの研究結果が報告された。

 開示の義務化が企業にとって本当に有益な成果をもたらし、ESGデータの質や利用可能性の向上につながるのか研究した結果、これらの事実が明らかになった。

 研究では規制の導入後、ESG関連の係争は規模、深刻度とも低下したことが示された。その原因として研究者は、「企業によるESG関連の不祥事の隠蔽が難しくなり」、ESG課題に関する経営幹部の不祥事が減少したことを挙げている。

 こうした動きを背景に、ESG情報開示の義務化によって、ESG関連の重大な係争やESGをめぐる悪材料の蓄積が呼び水となって株価が急落する確率は18%下がると研究者は結論づけている。さらに、情報を開示する企業に対して「訴訟の件数、課される罰金の総額、適用される制裁措置はいずれも減少し、株価急落リスクの低減につながり得る」とも述べている。

 市場参加者にとって「全体的な情報開示の改善」につながることも示された。証券アナリストが予想する1株当たり利益(EPS)の分析では、義務化されて以降のEPS予想精度が向上しただでなく、アナリスト間の予想値が収れんする傾向が強まった。

 今回の研究論文は欧州、香港およびオーストラリアの研究者が執筆したもので、2000年から2017年にESG情報の開示を義務づける規制を導入した国ごとのデータを集めたグローバルデータセットに基づいている。研究者は、当該期間にこうした規制を導入した国はオーストラリア、中国、南アフリカ、英国を含む計25ヵ国に上るとしている。

 本研究は、学者、立法者および実務者のための非営利研究団体「European Corporate Governance Institute(ECGI)」がファイナンス・ワーキングペーパーシリーズの一環として発表された。

 主要国の規制当局は、ESG情報開示に関する政策をより先進的なものにしようとしている。米国では証券取引委員会(SEC)と連邦準備制度理事会(FRB)が気候変動リスク、サステナビリティ情報開示、「ESG関連の不祥事」に焦点を絞った複数の規制プロジェクトを立ち上げた。証券監督者国際機構(IOSCO)は、今後策定が予想される新たなサステナビリティ報告の国際基準を監視するための専門家グループを発足させた。


 

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【参照】
Responsible Investor, Khalid Azizuddin「Mandatory ESG disclosure rules reduce risk of ESG controversies and stock price crashes, study finds」2021年5月11日(2021年5月25日情報取得)
Philipp Krueger, Zacharias Sautner, Dragon Yongjun Tang, Rui Zhong「The Effects of Mandatory ESG Disclosure around the World」2021年5月6日(2021年5月25日情報取得)


QUICK ESG研究所