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 4月22日の「アースデイ(地球の日)」に際して、アラベスクは世界の主要企業の温室効果ガスの排出量状況をアラベスクS―Rayの「Temperature Score(気温スコア)」を用いて分析した結果を発表した。今回はその結果について概要をお伝えしたい。

 アラベスクの「気温スコア」は、2030年と2050年までに予想される環境への影響を反映するために、数千のデータポイントを通じてグローバルな企業を温度表示のスコアで評価したものだ。温室効果ガスの排出量の抑制に取り組む企業を「1.5℃」「2.0℃」「2.7℃」「2.7℃超」でスコアリングし、1.5℃の気温スコアを付与された企業は温室効果ガス抑制に向けた取り組みが最も優れていることを示す。一方、スコアが「2.7℃超」となった企業はより一層の排出量削減の取り組みが求められることを示す。なお、排出量の情報開示が十分でない企業に対しては「3.0℃」のスコアを付与している。

■2050年の温室効果ガス抑制目標「1.5℃」達成、世界主要企業4分の1にとどまる

 世界の主要株式指数の構成企業について、温室効果ガス抑制に向けた取り組みが最も優れている気温スコア「1.5℃」を付与している企業の構成率を表にまとめるとともに、ポイントを以下に記した。

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【ポイント】
⓵アラベスクは、FTSE100、S&P100、DAX、日経225など世界の14の主要株式指数について各指数の構成企業に対する温室効果ガスの排出量を分析し、2050年までにパリ協定の1.5℃の努力目標(産業革命以降の平均気温上昇を2℃未満に抑制する2℃目標と1.5℃未満に抑制する努力目標)達成の可否を各企業の排出量水準から評価した

②世界の主要株式指数の構成企業の約4分の1は、気候リーダーズサミットとCOP26(国連気候変動枠組条約第26回締約国会議)の主要課題である1.5℃未満の上昇に抑制する目標を達成している

③世界の主要株式指数の構成企業を分析すると、2050年の1.5℃の目標達成に向けて、欧州企業が米国およびアジア太平洋の企業をリードしていることが分かった

④世界の主要株式指数の構成企業のうち15%の企業が温室効果ガス排出量を公表していないことが分かった。この15%の企業の時価総額は合計で約5兆米ドルに相当する

■パリ協定の抑制目標「2℃」では2030年までに約7割が達成可能と試算

 今回の世界の14の主要株式指数の構成企業の分析から、パリ協定に基づいて設定された2℃目標を2030年までに達成することができる企業は各主要指数の構成企業では7割の企業が達成可能であることが分かった。

 同目標を、各産業への排出量の割り当て基準が厳しくなる2050年に設定すると61%の企業が2℃目標を満たすという結果が出た。これはCOP21でパリ協定が196カ国により採択された2015年時点の約4割の割合から大幅に上昇している。しかし、世界の科学者たちは、気候クライシスの最悪の影響を食い止めるために、地球温暖化を1.5℃上昇に抑制する必要性があると主張している。

 一方、前述の1.5℃の努力目標水準で分析すると、アラベスクの分析では主要株式指数の構成企業の75%以上が現時点では未達であるという結果が分かった。

 4月22日のアースデイの直後に気候リーダーズサミットが開催された。そして11月にはCOP26が開催される。来年の本分析においては、「グラフ1」に示した目標達成率は大幅に上昇するであろう。

(アラベスクS-Ray社日本支店代表 雨宮寛)


雨宮 寛(あめみや・ひろし)
アラベスクS-Ray社日本支店代表。アラベスク・グループの日本事業の責任者。アラベスク以前は外資系金融機関で運用商品の開発に従事。CFA協会認定証券アナリスト。一般社団法人日本民間公益活動連携機構アドバイザー、明治大学公共政策大学院兼任講師。NPO法人ハンズオン東京副代表理事。ハーバード大学ケネディ行政大学院(MPA)、コロンビア大学経営大学院(MBA)。