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 本稿は、レスポンシブル・インベスターの掲載記事をQUICK ESG研究所が翻訳、編集したものです。

 オックスフォード大学の調査によると、過去10年間で石炭発電事業に係る資金調達コストが大幅に増加したのに対し、再生可能エネルギー事業では比較的短期間に減少したことが判明した。

 石炭発電所と炭鉱の新規開発事業に適用されるローンスプレッド(貸出利ざや)は、2000年から2010年までの平均と2011年から2020年までの平均を比べると、それぞれ56%、65%上昇したことが判明した。特に欧州では、炭鉱の新規開発事業のローンスプレッドは134%と急上昇している。

 一方、太陽光発電や陸上および洋上風力発電事業のローンスプレッドは短期間で大幅に低下した。2010年から2014年までと2015年から2020年までの洋上風力発電事業、太陽光発電事業、陸上風力発電事業のローンスプレッドの平均値を比べると、それぞれ33%、20%、15%低下した。

 石炭事業の資金調達コストが全体的に割高で推移してきたのに対し、石油・ガス事業の場合は地域やセクターによって大きな差がみられる。2011年から2020年までのローンスプレッドの平均を2000年から2010年までの値と比較すると、洋上石油掘削事業は41%低下したが、ガス火力発電事業は68%上昇した。一方、2007年から2010年までと2017年から2020年までの平均ローンスプレッドを比較すると、ガス火力発電は7%の比較的緩やかな上昇にとどまっている。

 調査からは、石油・ガス関連事業への融資について貸し手側が「潜在的に相反するスタンスががあり」、石油・ガス事業向け融資の満期までの期間は平均4年であるため短期的な移行リスクはさほど重視されていないことが示唆される。

 オックスフォード大学サステナブルファイナンスプログラムでサステナブル投資パフォーマンスの研究を主導し、調査の主な執筆者であるショウイェン・チョウ(Xiaoyan Zhou)氏は、「石油・ガス事業の資本コストが石炭と同じ道をたどるようなら、世界中の石油・ガス事業の経営状況に深刻な影響を及ぼすだろう。それが座礁資産を生み、大規模なリファイナンス・リスクをもたらしかねない」と指摘する。

 今回の調査結果は、化石燃料生産業者や発電業者の資本コストがグリーンエネルギーに比べて上昇していることを示している。

 国際環境NGOのカーボントラッカーが2021年3月末に公開した調査によると、2012年から2020年における化石燃料生産企業および関連企業の株価は、MSCIオール・カントリー・ワールド・インデックス(ACWI)を52%も下回った。2014年10-12月期以降は一貫してACWIを下回ったこともわかった。

 少数のアジア系石炭会社はIPO後の株価が好調に推移しているため、石炭セクターの株価はエネルギーセクター全体を上回っている。しかし、再生可能エネルギーやクリーンテクノロジー事業者の株価はACWIを54%近く上回った。

 年金基金や保険会社も再生可能エネルギー関連投資で相次ぐ動きを見せている。2021年4月には、ノルウェー中央銀行投資管理部門(NBIM)がオランダ風力発電大手であるオーステッド社の発行済み株式の50%を14億ユーロで取得すると発表した。また、スペインの再保険大手であるマフレ社はエネルギー大手イベルドローラ社と風力・太陽光発電プロジェクト(230MW)を手掛ける合弁会社を設置し(出資比率は80%)、最終的には1GW相当のプロジェクトに発展させる計画を明らかにした。カナダ年金制度投資委員会も、傘下のエネルギー・資源グループと発電・再生可能エネルギーグループを統合して「サステナブルエネルギーグループ」とすることを発表した。


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【参照】
Responsible Investor, Dominic Webb「Cost of capital for coal soars as renewables debt costs continue to fall」2021年4月19日(2021年4月28日情報取得)
RI Japan 2021


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