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 本稿は、レスポンシブル・インベスターの掲載記事をQUICK ESG研究所が翻訳、編集したものです。

 テキサス大学の研究グループが、気候関連リスク顕在化の可能性が大きい地域に拠点を置く米国企業は銀行融資の適用金利が割高であるという分析レポートを公表した。

 レポートによると、銀行融資のプライシングデータと世界で幅広く活用されている干ばつ指標「Palmer Drought Severity Index(PDSI、全米48州が算出対象)」を用いた分析で、干ばつリスクの高い地域に拠点を置く企業には、高い金利が適用されていることが明らかとなった(対象地域のPDSI値の標準偏差が1増加すると、金利が1.6%上昇する)。気候リスクが及ぼす融資金利への影響は、大雨、暴風および洪水といった他の3つの気候関連リスクを用いた分析データによっても裏づけられている。

 またレポートでは、気候リスクが融資金利に及ぼす影響は長期融資の金利に顕著に表れたと報告している(気候リスクを表す値の標準偏差が1増加すると金利が2.23%上昇する)。さらに、気候リスクが高くなるほど銀行側が融資額を縮小し有担保融資にすることやシンジケートローンに参加する銀行の数が減ること、コベナンツ(財務制限)条項が増える傾向があると結論づけている。

 研究グループは、分析の結果から「気候リスクは貸出金利にマイナス影響を及ぼす」ことが分かった一方で、「気候リスクに対する貸し手の関心は徐々に高まっているとはいえ、金融市場はいまだこのリスクを十分に理解し、リスクのあらゆる側面を織り込んでいるとはいえない」ことも証明されたと結論づけている。「研究結果から、貸し手は気候変動のもたらす物理的リスクに懸念を抱いており、リスクを負うことに対するプレミアムを求めていることが分かる。このプレミアムは気候変動とその原因をめぐる議論に左右されるものではない。気候変動に伴う物理的リスクの増大と融資返済の不確実性に対するプレミアムとみなされる」とも述べている。

 気候リスクのプライシングについて調査する動きは広がりつつあり、今回の研究レポートはその最新事例といえよう。このほか、環境基準に基づくネガティブ・スクリーニングにより投資対象から除外された企業の借り入れコストが割高になっている現状を取り上げた報告書や、海面上昇が不動産価格に及ぼす影響を分析したレポート、気候リスクに起因する規制/訴訟リスクに関する報告書も発表されている。


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【参照】
Responsible Investor,  Khalid Azizuddin「Climate vulnerable firms in the US pay more for loans, says study」2021年1月11日(2021年1月18日情報取得)
Abdullah Al Masum & Siamak Javadi,「The Impact of Climate Change on the Cost of Bank Loans」 Feb 3rd 2020(2021年1月18日情報取得)


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