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 本稿は、レスポンシブル・インベスターの掲載記事をQUICK ESG研究所が翻訳、編集したものです。

 英電力会社SSE(Scottish Southern Energy)は、株主のFriends Provident FoundationRoyal London Asset Managementエンゲージメントをうけ、「Just Transition plan(公正な移行計画)」を公表した。公正な移行について計画を発表したのは同社が初。

 従業員約12,000人を抱える同社は、「英国がネットゼロに向かう過程で、労働者と地域社会を保護することを支援する」と表明し、20の原則に従うことを約束した。

 原則は5つのテーマから成る。

1.「良いグリーンジョブ(Good green jobs)」
2.「消費者の公平性(Consumer fairness)」
3.「新しい資産の構築と運用(Building and operating new assets)」
4.「高炭素の仕事をしている人々の保護(Looking after people in high-carbon jobs)」
5.「コミュニティの支援(Supporting communities)」

 SSEを含む英国の電力会社に対し、公正な移行計画についてエンゲージメントを共同で主導してきたFriends Provident Foundationの投資エンゲージメントマネージャーであるコリン・バーンズ(Colin Baines)氏は、この動きを「思わぬ成功」として歓迎した。

 「SSEの計画は、労働者の再訓練と再配置、地域の再開発を優先するなど、化石燃料からの移行が労働者とコミュニティにもたらす悪影響を軽減しようとしており、評価できる。更に、質の高いグリーンジョブの提供や、国内のサプライチェーンのサポート、陸上再生可能エネルギーのシンプルなシェアリングオーナーシップのオプションの考案を含むコミュニティとのシェアリングエコノミーなどの、移行の機会についても言及されている」と述べた。

 Royal London Asset Managementのシニアレスポンシブルインベストメントアナリストであるカルロッタ・ガルシアーマナ(Carlota Garcia-Manas)氏は、同社がFinancing the Just Transition Allianceに加盟することを発表した。このアライアンスは、英国での公正な移行の資金調達に注目する投資家、銀行、大学、労働組合のコンソーシアムである。彼女は、来年のCOP26に向けて、気候変動の社会的側面がますます重要視されることを見越し、「他のエネルギー・電力会社がSSEに続き見倣う青写真として使用できる期待を文書にまとめた」と言う。

 一方、ボリス・ジョンソン英首相は、COP26の開催に向けて、グリーン経済のための10ポイント・プラン(The Ten Point Plan for a Green Industrial Revolution)を発表した。合計120億ポンドを投じるこの戦略には、ガソリン・ディーゼル車の新車販売禁止時期を2040年から2030年に早め、2030年までに洋上風力発電容量を4倍にすることを約束し、原子力、水素、炭素回収・利用・貯蔵、エネルギー効率化へ更に投資すると共に、より環境に配慮した航空と輸送に資金を投入することを約束した。

 Impax Asset ManagementのCEOであるイアン・シム(Ian Simm)氏は、この発表は「とても簡単なことではない」と述べ、「The Crown(英国のドラマ)で描かれているような問題の本質に迫るレベルではない」としたが、 「英国政府の本計画の野心性と範囲の広さを正当に評価するべき」とも述べた。

 また、計画が制定されるにあたり、「明確で信頼できる、一連のセクター別ロードマップ」の策定を求めた。 「投資家からすると詳細なロードマップが非常に重要である。 10の計画は歓迎すべきだが、300億ポンド以上の民間資本を動員するという目標は、投資要件の詳細な分析と民間投資を誘致するための戦略を公表し、迅速にフォローアップしない限り、達成できない」とした。

 「投資家の要求事項として優先順位が高いのは、スマートグリッドの開発を促進できるような市場改革だ。 EVの充電インフラに資金を提供するための計画や、水素ガス混合の計画を加速することで、10年後後半の魅力的な投資パイプラインを支えることができる」とも述べた。


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【参照】Responsible Investor,  Sophie Robinson-Tillett「Utility publishes first ever ‘Just Transition plan’ after shareholder pressure」2020年11月18日(2020年12月21日情報取得)


QUICK ESG研究所