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 本稿は、レスポンシブル・インベスターの掲載記事をQUICK ESG研究所が翻訳、編集したものです。

 スウェーデンの公的年金基金AP7、BNPパリバ・アセットマネジメント、英国国教会年金理事会は共同で、企業がロビー活動を通じて気候変動関連規制の強化を阻止していないか、投資家が評価するための枠組みを策定するプロジェクトを開始した。コンサルタント会社Chronos Sustainabilityがコーディネーターを務める。 

 BNPパリバ・アセットマネジメントでDeputy Global Head of Sustainabilityを務めるヘレナ・ヴィネス・フィスタス(Helena Viñes Fiestas)氏は、投資家はこの枠組みを活用することで、ロビー活動の透明性向上やパリ協定との整合性について企業と対話しやすくなると述べる。

 今年の各社の株主総会では、ロビー活動が大きなテーマとして浮上した。BNPパリバ・アセットマネジメントは、シェブロン、デルタ航空、ユナイテッド航空の株主総会でロビー活動に関する株主提案を主導し、ロビー活動がパリ目標にどの程度整合しているか明らかにするよう企業に求めた。

 オーストラリアでは同様の株主提案をめぐって歴史的な進展がみられた。同国最大の化石燃料生産企業であるサントスの株主総会で、ロビー活動の情報開示を強化するよう求める議案が提出され、議決権行使助言会社の米ISS、米Glass Lewisおよび英PIRCの賛成意見もあり、46.35%の賛成票を獲得した。 

 本枠組みができれば、企業とその代理人が政策過程にどのような影響を及ぼしているのか、つまり気候関連規制を支持するか、その策定を阻止または先送りしようとするのか、そしてそのような活動をいかに企業は管理・監督すべきかを明示することができる。本プロジェクトは、ロビー活動に対する企業のアプローチの違いを評価し、企業の行動を分析、評価、比較する上でも有効となろう。 

 米のアセットオーナーが主体となり、企業の低炭素経済への移行に向けた取り組みとマネジメント状況を評価するイニシアチブTransition Pathway Initiative (TPI) は既にロビー活動に関する調査をおこなっている。同イニシアチブと本プロジェクトが連携することで、企業がパリ目標に即したロビー活動を展開しているか、自社の気候変動対策と相反するような業界団体に対し有効な措置を講じているかどうか、投資家は判断できる。

 AP7のサステナビリティ・ストラテジストのCharlotta Dawidowski Sydstrand氏は、「気候危機に瀕している今もなお、野心的な気候変動対策に直接または業界団体を通じて間接的に抵抗を試みる企業があることは容認しかねる。我々は、ロビー活動のグッドプラクティスを共有するべく、本プロジェクトに挑戦する」と述べた。

 今秋には枠組みの策定作業を終え、2020年11月にグラスゴーで開催されるCOP26(気候変動枠組条約締約国会議)のほか、2021年のエンゲージメント計画にも組み入れることを目指す。

 本プロジェクトはInfluenceMap(英環境NGO)の取り組みをさらに発展・補完するもので、Chronos Sustainabilityのロリー・サリバン(Rory Sullivan)博士が策定を主導し、ロンドン・スクール・オブ・エコノミクスのリチャード・パーキンス(Richard Perkins)博士も支援する。また、プロジェクトの監督は、サステナビリティ分野の国際アドボカシーNGOのCeres、IIGCC(気候変動に関する機関投資家グループ)、PRI(責任投資原則)の知見に基づいておこなわれる。


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ESG国際会議>RI Tokyo 2020  9月15日(火)16日(水)に開催が決定。参加登録受け付け中
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【参照】
Responsible Investor,   Vibeka Mair「Investors to create framework to identify anti-climate lobbying by companies」2020年6月15日(2020年6月30日情報取得) 
Chronos Sustainability, “INVESTORS TAKE NEXT STEP TO PROMOTE RESPONSIBLE CLIMATE CHANGE LOBBYING” https://www.chronossustainability.com/news/qnoayfg8v77nqfzd4ep45vul1n2y0j

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