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 本稿は、レスポンシブル・インベスターの掲載記事をQUICK ESG研究所が翻訳、編集したものです。

 欧州銀行監督機構(EBA)は2019年12月6日、サステナブルファイナンスに関するアクションプランを発表した。

 EBAは欧州に拠点を置く貸出機関、投資会社および信用機関を所轄する欧州連合(EU)の監督機関で、金融システムの安定を確保する役割を担う。欧州委員会は、EUアクションプランの一環として、EBAに対し、欧州の金融サービス規制にサステナビリティをいかに組み入れるか、指針を提示するよう求めていた。

 EBAは、今回のアクションプランにおいて、気候変動ストレステストの実施や、グリーン・サポーティング・ファクター(グリーンプロジェクトに融資する銀行の自己資本比率規制をめぐる優遇措置)も検討していることを明らかにした。 そして金融機関に「事業戦略にESG要素を組み込む行動を即刻起こすよう」促し、これは「喫緊の課題」であると呼び掛けた。

 EBAは、アクションプラン提言内容の法制化を前に、金融機関が段階的に取り入れることを期待している。

1)加盟銀行に対し、信用リスクを含むリスク管理の方針にESGの要素を含むよう要求するべく、ガイドラインを策定する。更にESGリスクや気候変動関連の情報開示の徹底も強化していく。

2)気候変動ストレステストの実施。「気候変動リスクに対する銀行の脆弱性を明らかにし、物理的リスクと移行リスクによる潜在的なエクスポージャーの妥当性を数値化すること」を目的に、「気候変動に特化したストレステストを導入する」と説明する。また、こうした気候変動ストレステストが未成熟なままでは、「強固な枠組みの構築を妨げる要因になりかねない」と指摘した。2020年後半には、EU圏内の銀行に対する通常のリスク分析の一環として、気候変動リスクに対する感応度分析を自発的に受けたい銀行を募集し、プランを軌道に乗せたい考えだ。これにより、「気候変動リスクに対する銀行の脆弱性をより正確に把握し、銀行が保有するブラウンまたはグリーンな資産残高の推定が初めて可能になる」としている。

 「ブラウン」および「グリーン」の定義は2019年12月5日にEU理事会、欧州議会、欧州委員会の3社間で政治的合意に達したEUタクソノミーに基づくとみられる。

3)「『グリーンな資産』への優遇措置の健全性を検証する」ことを明らかにした。これは、長い間様々な議論の対象となっている「グリーン・サポーティング・ファクター(GSF)」の導入に言及したもので、環境的・社会的に有意義な債権(グリーンな債権)に対する資本要件を緩和するという内容である。

 22ページから成る今回のアクションプランは、移行リスクと物理的リスクなど気候変動に伴うリスクを認識したものである。「気候変動に対する責任を負うと見なされた企業とその投資家は、法的リスクを抱えることになりかねない」とも指摘している。

 一方、傘下に約3,500の参加銀行を持つ欧州銀行連盟(EBF)は、マドリードで開催された第25回国連気候変動枠組条約国会議(COP25)で「Encouraging and Rewarding Sustainability」と題した報告書を発表した。その中では、「官民連携がサステナブルファイナンスを加速させるカギとなる」と論じている。


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【参照】
Responsible Investor,    Sophie Robinson-Tillett「European Banking Authority outlines plans for climate stress test, disclosure requirements and a Green Supporting Factor」2019年12月6日(2020年1月28日情報取得) 
EBA, "EBA pushes for early action on sustainable finance" 06 December 2919 
https://eba.europa.eu/eba-pushes-early-action-sustainable-finance

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QUICK ESG研究所「【水口教授のESG通信】EUタクソノミーを考える」2019年9月11日 https://www.esg.quick.co.jp/research/1059
QUICK ESG研究所「【RI特約記事】EUサステナブルファイナンスに関するテクニカル・エキスパートグループ(TEG)が3つの報告書を発表」2019年7月11日 https://www.esg.quick.co.jp/research/1045


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