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本稿は、レスポンシブル・インベスターの掲載記事をQUICK ESG研究所が翻訳、編集したものです。

 アマゾンの森林破壊および森林火災を受け、ノルウェー最大の年金基金KLPは資産運用大手のブラックロックと協調し、ブラジルで事業展開する企業とその投資家に対するエンゲージメント活動を開始した。

 アマゾンの熱帯雨林は気候変動への対応に欠かせない自然資本であることから、その保護が世界的な議論の的となっている。先にG7は消火活動を支援するため約2,000万米ドルを拠出することで合意したが、ブラジルのボルソナロ大統領はこれを拒否し、マクロン仏大統領の顔に泥を塗るかたちとなった。ブラジル国立宇宙研究所(NISR: National Institute for Space Research)によると、年初から現時点までのアマゾンの森林火災発生件数は既に75,000件を超え、昨年に比べて85%も増加している。

 森林・先住民権利の保護団体Amazon Watchは、森林破壊の深刻化と現在発生している火災の多くを引き起こした最大の理由として、牛肉および大豆生産の拡大を挙げている。運用資産総額7,370億ノルウェークローネ(740億ユーロ)を擁するKLPは、深刻な環境破壊につながる事業を行う企業への投資を禁じる厳格なガイドラインを設けており、容認できない森林破壊リスクをもたらす企業も投資禁止対象に含まれる。KLPはブラジル産大豆を調達する米企業3社(アーチャー・ダニエルズ・ミッドランド社(ADM)、ブンゲ社およびカーギル社)に計5,000万ドルを投資している。

 KLPの責任投資部門トップであるジャネット・バーガン(Jeanett Bergan)氏はRIの取材に対して、8月下旬に上記の企業に質問状を送付し、現在回答待ちの状態であると述べた上で、「まずは話し合い、企業の取組みについて確認したい。一週間で回答を得られると思う」と述べた。バーガン氏はまた、「これらの企業に対しては、長年にわたりこの問題についてエンゲージメントを行ってきた。今回は、企業の対応を促進する力になることを目指している。ブラジル政府による行動と関心を促すとともに、ブラジルに対する企業の関心も喚起したい」と述べる。

 KLPは、世界最大の食肉メーカーでブラジル牛肉業界大手のJBS社を汚職を理由に投資対象から除外しているが、同社の株式を保有している投資家への圧力を強めている。同じく大手牛肉加工会社のマルフリグ社は先般トランジション・ボンドを発行したが、市場の評価は分かれている。KLPはブラックロック、JPモルガン、HSBC、バンク・オブ・アメリカ、シティグループなど複数の大手投資家に質問状を送った。バーガン氏によると、現在は回答待ちの状態で、ブラックロックとは電話会議を予定している。


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【参照】
Responsible Investor, Vibeka Mair「Norway’s KLP to firms involved in Brazilian soya production: “We expect answers”」2019年8月27日(2019年9月12日情報取得)


QUICK ESG研究所