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本稿は、レスポンシブル・インベスターの掲載記事をQUICK ESG研究所が翻訳、編集したものです。

国際NGOの気候債券イニシアチブ(CBI: Climate Bonds Initiative)は、EUタクソノミーに準拠した世界初のグリーンボンド基準を9月に公表する。CBIのアドバイザリーコミッティで、CBIが策定する気候債券基準(Climate Bonds Standards)と認証スキームの運用と実装を監督する気候債券基準委員会(The Climate Bonds Standard Board)が、新基準を承認した。同委員会は、CalSTRSなど総運用資産額34兆ドルのメンバーで構成される。

CBIが発表する最新の気候債券基準(Climate Bonds Standard Version 3.0 Draft - Second Consultation)により、EUグリーンボンド基準(EU GBS)適合認証済み債券の発行が可能になる。

EU GBSは、現在策定が進められているEUタクソノミー(低炭素社会への移行を促す経済活動の分類。2019年6月に発行されたレポートでは、67の経済活動を気候変動の緩和策と分類し、9の経済活動を気候変動の適応策として分類した)に基づくもので、現時点で法的効力はないが、欧州委員会はEUタクソノミーが策定され次第、法案を提出するかどうか検討する。欧州委員会のサステナブル・ファイナンスに関するテクニカル・エキスパートグループ(TEG)のうち、EU GBSのワーキンググループには、CBIのSean Kidney (ショーン・キドニー)CEOをはじめ、Nordea、クレディ・アグリコル、国際資本市場協会(ICMA)のグリーンボンド原則の代表者がメンバーとして参加している。グリーンボンドの専門家からは、グリーンボンドをめぐる一連の欧州委員会の政策の方向性について疑問を呈する声も聞かれる。ノルウェーのCentre for International Climate and Environmental ResearchのChrista Clapp(クリスタ・クラップ)氏は、EU GBSの基準はあまりにも煩雑かつ複雑になる可能性があり、投資家から敬遠されかねないと懸念を示していた

一方CBIは、CBIの検討基準策定に携わるチームは2013年頃から「EUタクソノミーの策定に深く関与」してきた経緯があり、既存の気候債券基準をEUタクソノミーに調和させるため改定を行うと述べていた。また、既存の気候債券基準の対象には含まれていないが、EUタクソノミーの対象に含まれているセクター(製造業や情報通信技術など)についても評価を行う方針である。EUタクソノミーに準じて我々の基準の対象を広げることで、気候債券基準に基づく認証を取得できる資産および事業の範囲を拡大する」と、9月に発表予定の改定について述べた。 

さらにCBIの新しい気候債券基準は、欧州の基準だけでなく、インドや日本、ASEAN等のグリーンボンド基準やガイドラインにも適合するとしている。(注1)

EUタクソノミーとの整合性を持つグリーンボンド基準は、単に規制に適合したというだけでなく、気候変動への適応およびレジリエンスにより注目し、評価対象セクターを拡大(バイオエネルギー、廃棄物、水力発電など)した基準になると言える。

(注1)”Full alignment with the Green Bond Principles, Green Loan Principles, ASEAN Green Bond Standards, Japan’s Green Bond Guidelines and India’s Disclosure & Listing Requirements for Green Bonds, [European Union Green Bond Standard] [Chinese requirements] [Nigeria, Kenya, Brazil, Mexico]" Climate Bonds Standard Version 3.0 Draft - Second Consultation p.5 https://www.climatebonds.net/files/files/Climate%20Bonds%20Standard_V3_03F.pdf


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【参照】
Responsible Investor,  Sophie Robinson-Tillett Climate Bonds Initiative first out the blocks with EU taxonomy-aligned green bond certification」2019年8月6日(2019年8月22日情報取得)
Climate Bonds Standard Version 3.0 Draft - Second Consultation, November 2018  
https://www.climatebonds.net/files/files/Climate%20Bonds%20Standard_V3_03F.pdf
Development of the Climate Bonds Standard, last updated April 2019  https://www.climatebonds.net/standard/download

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2019年7月11日 「【RI特約記事】EUサステナブルファイナンスに関するテクニカル・エキスパートグループ(TEG)が3つの報告書を発表」 https://www.esg.quick.co.jp/index.php/research/1045
2019年4月5日 「【RI特約記事】EUのハイレベルコンファレンス:会議はかつての「異端」が「ニューノーマル」となりつつある時代の切迫感を反映」 https://www.esg.quick.co.jp/index.php/research/1013
2019年3月14日 「【RI特約記事】EUサステナブル金融アクションプランの進捗状況」https://www.esg.quick.co.jp/index.php/research/1003
2018年4月27日 「【水口教授のESG通信】サステナブル金融とは何か - 欧州委員会アクションプランの意味すること」 https://www.esg.quick.co.jp/research/876
2018年2月28日 「【水口教授のESG通信】サステナブル金融への挑戦 - EUハイレベル専門家グループの提言」 https://www.esg.quick.co.jp/research/853
2017年11月1日 「欧州委員会の専門家グループによるサステナブル・ファイナンスの実現に向けた提言」 https://www.esg.quick.co.jp/research/792
2017年7月25日 「【RI特約記事】欧州委員会、非財務情報開示ガイドラインを採択」
https://www.esg.quick.co.jp/news/652


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