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本稿は、レスポンシブル・インベスターの掲載記事をQUICK ESG研究所が翻訳、編集したものです。

 ドイツに16ある連邦州の中で、ヘッセン州が初めて国連の責任投資原則(Principles for Sustainable Investment、以下PRI)に署名した。ヘッセン州は、金融センターであるフランクフルトを擁し、37億ユーロ相当の年金基金を運用している。PRIへの署名は、サステナブル投資方針として投資対象から化石燃料および原子力関連企業を除外し、ソブリン債投資においてもESGを考慮することを掲げる同州の取組みを強化するものである。ヘッセン州の報道官は、「公的資産を運用するにあたり、生態学的・社会的なサステナビリティとコーポレートガバナンスの両方の側面を考慮する必要がある。責任投資へのコミットメントを明示し、民間・公的部門の両方でサステナブル投資の普及拡大に貢献することを望んでいる。他の投資家との情報交換を通じて、この分野の基準の改善を支援したい」と述べる。

 ドイツはサステナブル・ファナンス分野での出遅れが指摘されているが、ヘッセン州は10年以上にわたりこの分野に取組み続けている。2012年には、年金基金のうち、全株式運用資産(全資産の約30%)の投資先をSTOXX社が開発したESG投資インデックスに移行した。同インデックスの構成銘柄は、国連グローバル・コンパクトの定める原則に違反する企業や、対人地雷やクラスター爆弾といった武器製造にかかわる企業など、グローバル基準を遵守していない企業を除外している。2018年9月には、ノルトライン・ヴェストファーレン州、ブランデンブルク州、バーデン・ヴェルテンベルク州と共同で、新たなESGインデックスの開発に向けた提案依頼書(RFP)を公開した。RFPでは、サステナビリティをめぐる期待の変化に応じ、またドイツ政府が掲げる石炭と原子力の段階的な使用廃止を掲げる戦略との整合性を図るため、化石燃料または原子力関連の売上高が5%を超える企業をインデックスの構成銘柄から除外することを求めている。加速する脱炭素化の動きに対応するため、新たなインデックスには二酸化炭素排出量の評価が盛り込まれる可能性もある。RFPではユーロ圏を投資対象としたインデックスに加え、グローバル版のインデックス開発も求めているが、インデックス算出会社はまだ決定していない。

 2019年初めに改訂されたヘッセン年金積立金法(Hessian Pension Reserves Act)には、投資運用プロセスにESG要素を組入れることに加え、国連グローバル・コンパクトを考慮する必要性も明記された。同州は、年金基金の大半(全体の約60%)を投資適格格付を持つソブリン債、国際機関債、政府系機関債に投資している。報道官によると、全てのアセットクラスでESG要素を考慮することを目指しており、今後は債券投資にも焦点を当てていく考えである。また、運用資産の約10%を占める不動産についても、倫理規範に基づく評価が導入されるとみられる。

 現在、ヘッセン州はドイツキリスト教民主同盟と緑の党の連立政権下にある。この政権は、ドイツのESGに関する業界主導のワーキンググループであるGreen and Sustainable Finance Cluster(当初の名称はGreen Finance Cluster Frankfurt of the Ministry of Economic Affairs for Hessen)を支援している。フランクフルトには200を超える金融機関が本拠を置いているが、市場観測筋によると、その大多数は責任投資に本腰を入れて取組んでいない。PRI Germany & Austriaのヘッドを務めるダスティン・ニューメイヤー(Dustin Neuneyer)氏は、「ヘッセン州のPRI署名は、ドイツにおける先駆者という、力強い重要なシグナルを発信した」と指摘する。


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【参照】
Responsible Investor, Sophie Robinson-TillettFrankfurt state pension fund to exclude fossil and nuclear as it becomes first to sign PRI」2019年5月24日(2019年6月10日情報取得)


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