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 70年前の1948年12月10日に国連総会で「すべての人民とすべての国とが達成すべき共通の基準」として「世界人権宣言」が採択された。 

 「ビジネスと人権に関する指導原則(UN Guiding Principles for Business and Human rights、以下UNGPs)」が、2011年に国連人権理事会で承認されて7年目の年でもある。UNGPsは、人権保護という国家の国際人権法上の義務を明記し、規模やセクターに関わらず、企業は事業活動やバリューチェーンにおいて人権を尊重する責任を有することを明示している。

 2018年11月26日から28日には、「第7回国連ビジネスと人権フォーラム」が開催された。本フォーラムはUNGPsの普及や課題に取り組むための対話および協働の促進を目的としており、UNGPsが採択された翌2012年以降、毎年国連のジュネーブ事務局で開催されている。本年は、UNGPsの第2原則「人権を尊重する企業の責任」に焦点をあてたテーマ(Business respect for human rights – building on what works)について、政府関係者や企業、投資家や労働団体、研究機関やNGOなど、130を超える国から約2500人が議論に参加した。

 フォーラム開催期間の11月27日、Vigeoeirisがグローバル60か国に上場する4585社を対象とした、人権課題への取り組みに対する評価結果を公表した(評価期間:2016年4月~2018年10月)。調査結果では、グローバル企業による人権保護の進展はごく僅かである。評価対象企業の平均スコアは100ポイント中33ポイントと総合的に低く、2016年比でたったの+1ポイントと、進展状況は遅々としている。本調査は、企業の人権課題への取り組みに実態が伴っていないことも指摘した。コミットメントを掲げるだけでなく、人権デューデリジェンスや苦情処理メカニズム等の効果的な方法に担保された目標と監視体制を導入している企業は5%にも満たない。

 本調査は、課題別・セクター別・国別・地域別に企業の取り組みの違いを示す。例えば、非差別の方針や職場での健康および安全性などの人権課題に関する企業報告は積極的に行われている一方、表現の自由や先住民の権利、団体交渉権の尊重などに関するものは少ない。セクター別では開発銀行、特殊銀行、電気通信が上位を占めたのに対し、タバコ、不動産は下位に属している。国別では、フランスを筆頭にトップ10位中9位は欧州諸国であり、トップ30位の企業のうち9割を欧州企業が独占した。アジア太平洋と北米に上場する企業は人権に関する企業報告に消極的だ。トップランクの評価を得た日系企業は、日本電気株式会社(NEC)、味の素株式会社、KDDI株式会社の3社である。

 

【関連サイト】
Vigeoeiris「Human rights in a globalised world: why do companies need to pay more attention?」 2018年11月27日(2018年12月12日情報取得)
OHCHR「2018 UN Forum on Business and Human rights」(2018年12月12日情報取得)

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QUICK ESG研究所 小松奈緒美、 平井采花