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2017年8月11日、英ロンドンのサディク・カーン市長が「ロンドン環境戦略」レポートの草稿を公表した。

カーン市長は、「ロンドンの環境汚染は全市民と訪問者に影響を与える。ロンドンの大気汚染は深刻であり、毎年9,000人以上が大気汚染に起因した病で命を落としている。また、有害大気物質や騒音公害、緑地の減少、気候変動による悪影響は全て、市民の健康で安心できる暮らしのリスクだ。私にはロンドン市長として行動を起こす責任がある。目標を実現するため、中央政府、各自治体、民間企業、NGO、ヨーロッパの友人たち、そしてひとりひとりのロンドン市民と協力し、この戦略を進める。私は、あらゆる階層のロンドン市民の参画を望んでいる」と語った。
レポートには、ロンドン市が掲げる6つの環境課題に対する2050年目標と市長による対応策の素案が記載されている。
公表された環境課題と2050年目標および主な対応策は以下のとおりである。
<大気の質>
2050年までに主要都市の中で最も大気汚染の少ない都市を目指す。そのため、ディーゼルを含む化石燃料を使用した交通機関を廃止し、遅くとも2037年までに市内のバスからの排出量をゼロにする。また2019年までには超低排出量地域制度を導入し、最終的にはロンドン全域(インナー・ロンドン:シティーとそれ取り巻く12区)に制度を広め、大気汚染物質の排出量の多い車の市内への乗り入れを禁止する。また、可能な限り速やかに現状の法的な規制基準を上回るより厳しい基準の導入を進める。

<環境に配慮したインフラ>
2050年までに樹木を10%増加させ、市内の50%以上を緑地にする。そのため、グリーン都市ファンドを活用した植林を促進することで、ロンドンを史上初の国立公園都市にする。

<気候変動及びエネルギー削減>
新たなクリーン技術を導入することで、建物に係る温室効果ガス排出量と、交通機関から排出される温室効果ガス排出量を正味ゼロにする。2030年までに太陽光パネル設置への補助金により、太陽光発電による発電量を少なくとも100メガワット増加させる。

<廃棄物>
廃棄物ゼロ都市を目指し、2026年までに生物分解性またはリサイクル可能な廃棄物の埋め立てを禁止し、2030年までに市内のリサイクル率を65%に引き上げる。対応策として2020年までにリサイクル率の最低基準および食品廃棄物基準を導入する。

<気候変動への適応>
洪水や渇水、気温上昇といったリスクによる長期的な気候変動に耐えうる環境を整える。そのために、最新のデータや技術を用いて気候変動による影響リスクが高く、整備が必要な主要インフラやサービス機関を特定、対応する。

<騒音>
騒音被害を受ける市民数を減少させるため、ヒースロー空港の拡張を阻止、ヘリコプターによる騒音を低減するよう政府に働きかける。また最新技術を活用し鉄道および地下鉄の騒音を低減させる。

カーン市長は「私はロンドンを2050年までにゼロカーボンシティー、すなわち世界で最も環境にやさしい都市にしたいのだ。レポートに記載したのは、ロンドンが直面している最も深刻な環境課題に対する対応策と目標だ。これは、現在のロンドン市民の健康で安全な環境の実現のためだけではなく、次世代のロンドン市民のためにも重要である。」と述べた。

ロンドン市は2017年11月17日まで、同レポートに対する意見を幅広く一般から集め、最終的なレポートを纏める予定である。

【関連資料】
Website: Draft London Environment Strategy - have your say
Executive Summary: London Environment Strategy
Full report: London Environment Strategy


QUICK ESG研究所 鈴木敦史、小松奈緒美