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 2017年8月15日、英国財務報告評議会(FRC: The Financial Reporting Council)は戦略報告書ガイドラインの改訂案を発表し、関係者に諮問した。英国の戦略報告書は、ステークホルダーに企業のビジネスモデルや戦略、実績および将来の見通しについて全体像を提供することを目的としたもので、全ての英国企業(免除規定が適用される小規模企業を除く)は年次で報告書の作成が義務付けられている。戦略報告書ガイダンスの初版は2014年に発行されたが、 今回、2017年1月以降の会計年度に適用される非財務報告に関する新規則を考慮するように改訂される。

 ガイダンスの改訂は、英国会社法(2006年)の第172条の実効性を高めようとするFRCの意図が反映されたものだ。第172条は、取締役に対して会社の成功を促進する義務を規定し[1]、取締役の意思決定が事業にもたらす長期的な影響や株主およびその他のステークホルダーの利益、非財務的事項などについて考慮することを求めている。

 今回のガイダンス改訂は、すべての企業に対して、企業の長期的な戦略に関わる意思決定をする際に、取締役会がどのように幅広いステークホルダーを考慮したか、開示するよう促している。また、欧州委員会により採択された非財務情報開示ガイドラインの内容も反映している。欧州委員会指令は、従業員数が500人以上の企業に対し、企業の環境保全や人権保護、汚職や贈賄の禁止、取締役のダイバーシティといった非財務情報の開示を2018年以降の年次報告において義務付けた[2]

 FRCのコーポレート・ガバナンスおよび報告担当執行役員ポール・ジョージは、次のように述べている。
「質の高い報告は、透明性とビジネスに対する信頼性を高める。今回のガイダンスの改訂案は、企業に対し、事業活動のステークホルダーへの影響や、長期的に企業の成功に貢献する要因を考慮することを求めている。FRCは、すべての企業が、非財務情報を年次報告書の必要不可欠な部分として認識し、取締役が会社法第172条に基づく義務をどのように考慮したのか、株主やその他幅広いコミュニティに情報提供することを奨励する。」

 

【関連サイト】
[1] Companies Act 2006, P139
[2] 欧州委員会、非財務情報開示ガイドラインを採択(2017年7月25日)
FRC consults on non-financial reporting guidance
Draft amendments to Guidance on the Strategic Report


QUICK ESG研究所 鈴木敦史、小松奈緒美