イギリスと車のイメージ

2017年7月26日、イギリス政府は環境・食糧・農村地域省と運輸省が策定した「道路の二酸化窒素(NO2)汚染対応計画」において、2040年以降、国内におけるディーゼル車とガソリン車の新車販売を禁止し、新クリーンエア基金を設立することを明らかにした。

イギリスの空気の質は近年大幅に改善しており、二酸化窒素(NO2)排出量は過去15年間で半減した。しかし2017年2月、イギリスは欧州連合(EU)が定めるNO2の大気汚染基準に継続的に違反しているとして、ドイツ、フランス、スペイン、イタリアとともに、欧州委員会から早期に状況改善のための措置をとるよう求められた[1]。 

イギリス国内の主要な道路1,800本を対象とした調査では、4.5%にあたる81本の道路で環境基準を超えるNO2が観測され、そのうち33本は地方の道路であることが判明した。また、イギリス政府は、大気汚染は国民の健康の最大リスクであり、2012年には27億ポンド(約3,857億円)に相当する生産性の低下をもたらした、と述べている。汚染対策は地域ごとの実情に大きく依存し、推進のためにはその地域についての知見や情報が重要となることから、政府は各地方自治体に対し、2018年3月までにNO2排出量削減を含む対応策の草案を作り、同年12月までに最終的な大気汚染改善計画書を策定するよう要請した。政府は、これまで大気汚染対策として投じられた27億ポンドに加え、各地域のフィージビリティースタディー、計画立案および実施のための緊急対策費として、新たに2億5500万ポンド(約364億円)を投じる。

地方自治体が取りうる対策としては、渋滞を緩和するための道路レイアウトの変更、バスやその他の交通手段をより大気汚染の少ないものへ改良、パークアンドライドの推進とそのためのインフラ整備などがある。イギリス政府は、新クリーンエア基金を設立し、これら対応策を支援する。ロンドン市長は、NO2の大気汚染基準違反が継続する場合、大気を汚す恐れのある車両の走行制限や大気汚染のひどい区域に入る際の料金徴収を課す可能性を示唆しているが、政府としては新クリーンエア基金の活用により車両の制限や課金ではない手段による対応を期待している。 

マイケル・ゴーヴ環境相は、「今回の計画では、特にNO2によって引き起こされる道路の大気汚染に対して、政府と地元自治体がどのように協力し、効果的な対策を推進できるのか言及している。来年には、国全体として包括的大気汚染防止戦略を公表する予定である」と語った。

また、クリス・グレイリン運輸相も、「我々の市や町の大気汚染を改善し、グリーン革命を実現することを決意した。2050年までに、イギリスを走る全ての乗用車と貨物車が排出ガスゼロになるよう、断固たる処置をとる。そのために、超低排出ガス車の開発、製造、使用に、6億ポンド(約857億円)以上投資することをコミットする」と語った。

欧州ではイギリスの他、ドイツ、オランダ、ノルウェーでガソリン車・ディーゼル車の販売を禁止する法案が審議されている。フランスのマクロン大統領は7月上旬、フランスでディーゼル車とガソリン車を2040年までに段階的に廃止するというイギリスと類似した計画を発表している。企業では、BMWが電気自動車版の「ミニ」を2019年からイギリス・オックスフォードのカウリー工場で製造すると発表した[2]。スウェーデンの自動車メーカー、ボルボも、2019年から発売する全ての新モデルを完全な電気自動車(EV)かハイブリッド車(HV)にする計画を明らかにしている[3]

【関連資料】
プレスリリース: Plan for roadside NO2 concentrations published
[1] Commission warns Germany, France, Spain, Italy and the United Kingdom of continued air pollution breaches
[2] BMW Group announces next step in electrification strategy
[3] ボルボ・カーズ、2019年から全モデルを電動化へ
 


QUICK ESG研究所 鈴木敦史、小松奈緒美