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この記事は、【GPIF】「平成28年度 業務概況書」を公表 その1「第1部 2016(平成28)年度の管理及び運用状況」 の後編です。

第2部 年金積立金管理運用独立行政法人について

1.  中期目標・中期計画

(1) 中期目標管理法人

 2015年4月1日に施行された独立行政法人通則法により、独立行政法人は、「中期目標管理法人」、「国立研究開発法人」および「行政執行法人」の3類型に分類され、GPIFは「中期目標管理法人」に分類された。

(2)  中期目標・中期計画

 主務大臣(GPIFの場合は厚生労働大臣)は、3年以上5年以下の期間で中期目標を定め、中期目標管理法人に指示する。指示を受けた法人は、当該目標を達成するための計画(中期計画)を作成し、主務大臣の認可を得なければならない。

(3)  中期目標期間

 第1期はGPIFが設立された2006年度から2009年度までの4年間、第2期が2010年度から2014年度までの5年間、そして第3期が2015年度から2019年度までの5年間である。いずれも最終年度は、年金制度について5年に一度実施される財政検証の年となっている。

(4)  年金積立金の管理および運用の基本的な方針

 年金積立金の運用は、厚生年金保険法第79条の2および年金積立金管理運用独立行政法人法第20条第2項等に規定される「専ら厚生年金保険の被保険者の利益のために、長期的な観点から安全かつ効率的に行うことにより、将来にわたって年金事業の運営の安定に資することを目的とし、年金積立金の管理および運用の具体的方針を策定して行う」こととされている。
 これを受けて、中期計画では、分散投資を基本として、長期的な観点からの資産構成割合(基本ポートフォリオ)を策定することが定められている。
 なお、第3期中期計画では、2015年10月の厚生年金一元化を踏まえ、基本ポートフォリオの策定に当たっては管理運用主体(GPIFおよび3共済)が共同して定めるモデルポートフォリオを参酌することになっている。

(5)  運用の目標、リスク管理、透明性の向上等

 第2期中期目標および第3期中期目標では、年金積立金の運用は、年金制度の財政検証を踏まえ、保険給付に必要な流動性を確保しつつ、長期的に積立金の実質的な運用利回り1.7%を最低限のリスクで確保することが目標とされた。
 リスク管理については、分散投資による運用を行い、資産全体、各資産、各運用受託機関等の各種リスク管理を行うことが定められている。
 第3期中期目標では、原則としてパッシブ運用とアクティブ運用を併用すること、ただし、アクティブ運用については過去の運用実績も勘案し、超過収益が獲得できるとの期待を裏付ける十分な根拠を得ることを前提に行うこと、株式運用においては収益確保のため非財務的要素であるESG(環境、社会、ガバナンス)を考慮することについて検討することなどが定められている。
(注)赤字は、QUICK ESG研究所による。

(6)  長期的な観点からの資産の構成(基本ポートフォリオ)

 2014年10月1日から第2期中期計画を変更し、基本ポートフォリオを次のように定め、第3期中期計画においても継続している。
 ・国内債券35%(±10%)
 ・国内株式25%(±9%)
 ・外国債券15%(±4%)
 ・外国株式25%(±8%)
 ※数字は資産構成割合(カッコ内は乖離許容幅)

(7)  年金積立金の管理および運用に関し遵守すべき事項

 第3期中期計画では、株主等の長期的な利益の最大化を目指す観点から、株主議決権の行使等の適切な対応を行うこと、その際、日本版スチュワードシップ・コードを踏まえ、スチュワードシップ責任を果たす上での基本的な方針に沿った対応を行うこと、また、企業経営等に与える影響を考慮し、株式運用において個別銘柄の選択は行わないことが定められている。

(8)  管理および運用能力の向上、業務運営の効率化等

 第3期中期計画では、高度で専門的な人材の受入に伴う環境整備を図ることなどが定められている。
 また、オルタナティブ投資に関するリスク管理を含めたポートフォリオ全体のリスク管理システムについて、費用対効果を勘案した上で、自ら開発することを含めて検討することとされている。

2.組織・内部統制体制

(1)組織

 GPIFの役職員は2017(平成29)年7月1日現在、役員は理事長、理事2名、監事2名(うち1名は非常勤)の5名、職員は104名(臨時職員を除く)となっている。
 組織は総務部、企画部、運用リスク管理室、情報管理部、投資戦略部、運用管理室、市場運用部、オルタナティブ投資室、インハウス運用室のほか、理事長直属の監査室が設置されている。

(2)内部統制体制

 GPIFは「内部統制の基本方針」を定め、これに基づき、業務の有効性および効率性を確保するための体制、法令等の遵守体制、損失危機管理の体制、情報保存管理の体制、財務報告等の信頼性確保の体制を整備している。

3.運用委員会

 運用委員会は、委員11名以内で厚生労働大臣が任命することになっている。
 2017年7月1日現在 新井東京大学名誉教授を委員長として、ほか7名の委員で構成されている。
 運用委員会の下には「ガバナンス会議」が設けられている。

4.年金積立金管理運用独立行政法人法の改正

 2016年の通常国会にGPIFの組織等の見直しを含む「公的年金制度の持続可能性の向上を図るための国民年金法等の一部を改正する法律案」が提出され、2016年12月に成立、2017年10月施行に向けて準備を進めている。

(1)独任制から合議制への転換

 現在、基本ポートフォリオ策定などの意思決定は、理事長に委ねられているが、改正法では、経済、金融等の専門家9名と理事長で構成される「経営委員会」での合議制で意思決定されることになる。

(2)「意思決定・監督」と「執行」の分離

 執行部の監督機能をより強化するため、従来理事長が一体的に行なっていた意思決定と執行を分離し、「経営委員会」が執行部の監督を行うこととなる。
 併せて、監査と日常的な業務の監視を行う「監査委員会」を設置する。

(3)運用の多様化

 利用目的をリスク管理に限定した上で、デリバティブ取引方法が拡大される。また、短期資産運用方法として新たにコール資金の貸し付け等が可能となった。

第3部 資料編(抜粋)

※抜粋のため、項目の数字が飛んでいる箇所があります。

3.運用手法・運用受託機関別運用資産額等

(1)運用手法別・資産別運用資産額(2016年度末時価総額)

運用資産 合計144兆9,034億円
 内訳  市場運用 143兆2,562億円(パッシブ運用110兆7,488億円、アクティブ運用32兆5,074億円)
     財投債 1兆6,472億円

(2)パッシブ運用およびアクティブ運用の割合の推移(市場運用分)

2016年度末の状況
 ・国内債券(パッシブ運用79.38%、アクティブ運用20.62%)
 ・国内株式(パッシブ運用90.62%、アクティブ運用9.38%)
 ・外国債券(パッシブ運用60.89%、アクティブ運用39.11%)
 ・外国株式(パッシブ運用86.45%、アクティブ運用13.55%)
 ・合計  (パッシブ運用77.31%、アクティブ運用22.69%)

(6)資産別、パッシブ・アクティブ別ファンド数(委託運用分)の推移

2016年度の資産別ファンド数(カッコ内は2015年度)
 ・国内債券:パッシブ5(5)アクティブ9(9)
 ・国内株式:パッシブ11(10)アクティブ14(17)
 ・外国債券:パッシブ11(6)アクティブ21(21)
 ・外国株式:パッシブ6(6)アクティブ12(14)
 ・合計:パッシブ33(27)アクティブ56(61)

4.保有全銘柄について

 保有銘柄は、受託者責任、国民の関心の高まりおよび世界の年金基金の標準という観点から全面開示し、国民の信頼の向上および海外投資家等の国内市場への信頼の向上を目指すこととなった。
 今回は、2017年3月末時点で運用受託機関への投資一任契約により間接的に保有しているものおよび自家運用で保有しているもの(債券のみ)を、債券は発行体ごと、株式は銘柄ごとに集約したものの上位10位を開示している。
 11位以下については、GPIFのホームページを参照のこと。

① 国内債券保有銘柄の時価総額順では、
 日本国、日本高速道路保有・債務返済機構、地方公共団体金融機構、住宅金融支援機構、地方公共団体(共同体)、東京都、東京電力HD、大阪府、神奈川県および愛知県。
 合計495発行体、時価総額478,802億円。

② 外国債券保有銘柄の時価総額順では、
 米国、イタリア、フランス、英国、ドイツ、スペイン、メキシコ、オーストラリア、ベルギーおよびカナダ。
 合計2,257発行体、時価総額193,661億円。

③ 国内株式保有銘柄の時価総額順では、
 トヨタ、三菱UFJFG、NTT、ホンダ、三井住友FG、ソフトバンク、みずほFG、KDDI、ソニーおよびファナック。
 全銘柄数は2,207銘柄、時価総額349,956億円。

④ 外国株式保有銘柄の時価総額順では、
 アップル、マイクロソフト、アマゾン、フェイスブック、ジョンソンアンドジョンソン、エクソン、JPモルガンチェース、アルファベット(C)、ネスレ、ウェールスファーゴおよびアルファベット(A)。
 全銘柄数は2,621銘柄、時価総額346,245億円。

 

<参考>
平成28年度業務概況書(2017年7月7日 GPIF公表)
独立行政法人通則法(平成十一年七月十六日法律第百三号 最終改正:平成二六年六月一三日法律第六六号)
年金積立金管理運用独立行政法人第3期中期計画(2015年4月1日 GPIF公表)
「公的年金制度の持続可能性の向上を図るための国民年金法等の一部を改正する法律」(平成28年法律第114号)
保有全銘柄について(2016(平成28)年度末)[EXCEL:477KB](2017年7月7日 GPIF公表)

 

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【機関投資家】GPIF「平成27年度業務概況書」について <第1部 平成27年度の管理及び運用状況>
【機関投資家】GPIF「平成27年度業務概況書」について <第2部 年金積立金管理運用独立行政法人について>
【機関投資家】GPIF「平成27年度業務概況書」について <第3部 法人設立10年のあゆみ および 第4部 資料編>


QUICK ESG研究所 菅原 晴樹