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レスポンシブル・インベスターが、6月6日から7日の2日間にわたりロンドンで開催したESGに関するイベント「RI ヨーロッパ 2017」では、トランプ米大統領がイベント直前の6月1日に地球温暖化対策の国際的枠組みである「パリ協定」から離脱表明したことを受け、地球温暖化問題への今後の取り組みや、ESG投資への影響について議論が交わされた。

■米国のパリ協定離脱、ESGイベントで大きな話題に

 地球温暖化問題への取り組みはESG投資の大きな要素の1つであるため、今回のイベントでも基調講演やパネルディスカッションなど、あらゆる場面で話題に上った。パリ協定は温室効果ガス排出量削減のため、各国が削減目標を自主的に設定していく取り組みで、二酸化炭素(CO2)の二大排出国である中国と米国も批准した歴史的な協定とされた。しかし、トランプ大統領は「非常に不公平。米国に不利益をもたらし、他国の利益となる」と非難し、昨年11月の大統領選において掲げていた公約の実現に踏み切った。

■脱炭素化・温暖化対策の流れが逆行することはない

 あるパネルディスカッションでは、米国がすでにパリ協定を批准している点やエクソンモービルなど大手企業も同協定を支持していることなどから、「脱炭素化・温暖化対策の流れが逆行するようなことはない」との声があった。RIイベントの1日目に基調講演を行った年金積立金管理運用独立行政法人(GPIF)の水野弘道理事兼CIOも米国のパリ協定離脱の影響について質問されたが、「トランプ大統領の発言は25年以上持続可能だと思いますか。私はそうは思わない」と述べた。

■米国の決定、「短期視点では合理的な判断も本質的には間違い」の声

 今回のイベントに参加していた、スイスを拠点として気候変動分析情報を提供するベンチャー企業のカーボン・デルタ社は、トランプ大統領の行動は正しいか、間違っているかという観点で分析を試みた。

 同社のオリバー・マーチャンド最高経営責任者(CEO)は「短期的にみれば確かに米国には不利益だ」と指摘する。同社の分析によれば、パリ協定での合意を実行した場合、最初の15年間で米国の1人当たり排出削減コストは中国やインド、欧州連合(EU)を大きく上回る。しかし、長期の視点でみれば「中国とインドの経済的負担は2030年以降、急激に増加する」といい、米国の役割が「不公平」であるとするトランプ米大統領の主張は間違っているとした。


QUICK ロンドン支店 荒木 朋