公表の画像

 2017年6月1日に年金積立金管理運用独立行政法人(GPIF)は、スチュワードシップ活動原則および議決権行使原則を制定し、6月2日に公表した。

 GPIFは、2017年4月26日に開催された第117回運用委員会において、「日本版スチュワードシップ・コード改訂への対応について」を提示していた。その中で、改訂コードに対するGPIFの対応として、運用受託機関に対して議決権行使を含むスチュワードシップ活動に関する要求事項や原則を策定・公表することおよび運用受託機関に対して議決権行使結果の個別開示を指示・要請することを今後のスケジュール(6月を予定)に織り込んでいた。

 今回、2017年5月29日に金融庁から改訂コードが公表されたのを機に、2つの原則が制定・公表された。

(1)スチュワードシップ活動原則

国内株式及び外国株式を運用する運用受託機関に対して、以下に掲げる事項の遵守を求める。

①運用受託機関におけるコーポレート・ガバナンス体制(日本版スチュワードシップ・コードの受入れ、独立性の高い社外取締役導入等)

②運用受託機関における利益相反管理(独立性の高い第三者委員会の設置等)

③エンゲージメントを含むスチュワードシップ活動方針(パッシブ運用にふさわしいエンゲージメント戦略)

④投資におけるESGの考慮(PRIへの署名)

⑤議決権行使(別に定める議決権行使原則に則ること)

(2)議決権行使原則

①議決権行使に当たって

・運用受託機関は、長期的な株主利益の最大化に資する議決権行使方針、ガイドライン等を定め、判断の根拠が明確になるよう公表すること。

・運用受託機関は、形式的な議決権行使とならないよう投資先企業とのコミュニケーションを重視すること。

・運用受託機関は、ESGを考慮することは中長期的な企業価値向上のために重要であると認識した上で適切に議決権行使すること。

・運用受託機関は、議決権行使において議決権行使助言会社を利用する場合に、推奨どおりに機械的に行使するのではなく、議決権行使の最終責任は運用受託機関にあると十分に認識した上で議決権行使すること(利益相反管理を目的とする場合は除く。)等

②株主総会終了後の対応

・運用受託機関は、個別の投資先企業及び議案ごとの議決権行使結果を全て公表すること。

・運用受託機関は、重要性又は必要に応じて、企業に議決権行使結果及び判断理由を説明又は公表すること。

・運用受託機関は、議決権行使結果を定期的に振り返り、自己評価を行い、その結果を踏まえ、必要に応じて、翌年度以降の議決権行使方針を見直すこと。

 GPIFの運用受託機関は、すでにスチュワードシップ・コードの受け入れおよびPRIへの署名はしているものの、コーポレート・ガバナンス体制および利益相反管理の徹底、ESG課題への取組み、議決権行使結果の個別開示および議決権行使助言会社へのデューディリジェンスなど、今後一層のスチュワードシップ責任を求められることになる。

参考:

GPIF「スチュワードシップ活動原則」(2017.06.01制定
http://www.gpif.go.jp/operation/pdf/stewardship_activity_principle.pdf

GPIF「議決権行使原則」(2017.06.01制定)
http://www.gpif.go.jp/operation/pdf/voting_rights_principle.pdf

GPIF「第117回運用委員会(2017.04.26開催)配布資料1-1「日本版スチュワードシップ・コード改訂への対応について」http://www.gpif.go.jp/operation/committee/pdf/kanri02iinkai1172.pdf


QUICK ESG研究所 菅原 晴樹