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 長期の視点に立ち、財務データに非財務(ESGデータ)を考慮して投資をするESG(環境・社会・企業統治)投資にヘッジファンドなど短期筋も収益機会を見出そうとしているようだ。QUICK ESG研究所がESG指数の採用銘柄の入れ替えによる株価の動きを調べたところ、採用・除外銘柄の発表とともに採用銘柄に買い・除外銘柄に売りがみられ、入れ替え日には反対売買が入っていた。指数への連動を目指す機械的な売買を見越して一部の投資家が先回り的に動いているとみられる。

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 今回調べたのは英FTSEラッセル社の「FTSE Blossom Japan Index」で、年金積立金管理運用独立行政法人(GPIF)がESG投資のベンチマーク(運用指標)にしている。同指数の銘柄入れ替えが2020年12月8日に発表され、ソフトバンク(9434)や日立(6501)など15銘柄の採用とアコム(8572)やローソン(2651)など5銘柄の除外が決まった。同年12月8日を基準として年末までの採用・除外銘柄の対東証株価指数(TOPIX)超過リターンをそれぞれ計算し単純平均してみると、採用銘柄群の株価が上昇、除外銘柄群が下落している様子がわかる。

 一方、実際に銘柄入れ替えが実施される12月18日を基準として見てみると、採用銘柄は売られ、除外銘柄には買い戻しが入っていた。買い需要・売り需要を見越して先回りした一部の投資家がポジションを解消したようだ。

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 インデックスの銘柄入れ替えのタイミング狙った思惑的な売買によって仮に収益が得られるとすれば、その影響は多少なりともパッシブ型投資家にコストとして影響を及ぼす可能性がある。ESG指数に連動する投資信託やETF(上場投資信託)が拡大するなか、ESG投資においても、こうした見えづらいコストが発生する可能性も知っておく必要があるだろう。


QUICK ESG研究所 中村俊之、伊藤央峻