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 本稿は、レスポンシブル・インベスターの掲載記事をQUICK ESG研究所が翻訳、編集したものです。

 カナダ年金制度投資委員会(CPPIB)は7月、サステナブル投資方針を改定し、企業に対してSASB(サステナビリティ会計基準審議会)スタンダードとTCFD(気候関連財務情報開示タスクフォース)提言に沿った情報開示を求めた。 

 総額4,100億カナダドル(2,630億ユーロ)の資産を運用するCPPIBは、「企業が自社の業界やビジネスモデルに関連する重要なESGリスクと機会を報告し、特にそれらのパフォーマンスや目標に関する情報開示を重視する」との意向を示した。そして、企業からアドバイスを求められた際、SASBスタンダードおよびTCFD提言の使用を推奨するという。

 CPPIBサステナブル投資部門のマネージングディレクターを務めるリチャード・マンリー(Richard Manley)氏は新たなサステナブル投資方針について、「ESG関連の事業リスクと機会を考慮し経営に統合している企業の方が長期的な企業価値を創造し持続させることを示す証左が増えているという事実を反映したものだ」と説明している。

 新たな方針は、ESGをめぐる企業への積極的なエンゲージメントが果たす役割についても強調している。

 今回の動きは、オンタリオ州政府が同州の「資本市場の近代化に関するタスクフォース(Capital Markets Modernisation Taskforce」の助言に基づいて作成した報告書の発表からわずか数週間のうちに起きたものである。報告書は、オンタリオ州証券委員会(OSC)への法定開示要件を改訂し、企業にSASBスタンダードまたはTCFD提言に沿った情報開示を義務づけるよう提言している。

 この提言はオンタリオ州の資本市場規制の近代化に向けた提言(全部で50近く)の1つで、投資家保護とイノベーションの育成を促すことを目的としている。タスクフォースは9月7日までにこれらの提言を正式文書として提出する予定で、最終的な報告書と提言は年内に公表される。

 カナダの「レジリエントな復興のためのタスクフォース(Task Force for a Resilient Recovery)」は7月下旬、政府はコロナ復興を促すためグリーン投資に500億カナダドルを投入すべきと提言書を発表した。さらにコロナ後の景気刺激策として、エネルギー効率を高めるための建造物改修費用のほか、二酸化炭素排出量ゼロ自動車の普及拡大を通じてカナダ国内にクリーンカーの生産拠点を招致・維持するための費用として270億カナダドルを盛り込むことを提案した。

 提言書の発表と同時期に、同タスクフォースのメンバーであるバーバラ・ズバン(Barbara Zvan)氏がオンタリオ州内大学の新たな年金基金University Pension Plan Ontario(UPP)の初代代表兼CEOに任命された。カナダ政府のグリーンファイナンスに関するアドバイザーも務めたズバン氏はRIの取材に対し、サステナビリティはUPPが考慮すべき重要な要素になると述べている。


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【参照】
Responsible Investor, Caitlin Otway 「Canada’s biggest pension fund demands SASB and TCFD disclosure」2020年7月24日(2020年8月11日情報取得) 

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QUICK ESG研究所「【RI特約記事】サステナビリティ基準設定機関が乱立する現状に一石を投じたIASB議長の発言が波紋 機関の統合による「混乱状態の解消」を提案」(2019年9月17日)https://www.esg.quick.co.jp/research/1063
QUICK ESG研究所「【RI特約記事】CalPERS、TCFD提言に沿った情報開示に意欲 加州法の改定受け年内にも」(2019年7月17日)https://www.esg.quick.co.jp/research/1047


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