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 本稿は、レスポンシブル・インベスターの掲載記事をQUICK ESG研究所が翻訳、編集したものです。

 米証券取引委員会(SEC)の投資家助言委員会(IAC: Investor Advisory Committee)は5月14日、SECに対し、原則ベースのESG情報開示ルールを策定するよう勧告した。 

 IACは報告書において、米国としてESG情報開示に対して「組織的な対策」を講じることを求め、いまや投資家は「自らの投資マンデートがESGに特化した戦略を含むか否かを問わず」ESG情報がマテリアルであると認識していると指摘する。

 また、標準化された情報開示フレームワークは、中小企業と大企業の競争条件を公平化する(レベル・プレイング・フィールドとも言う)上で重要であるともIACは説明する。中小企業にはESGデータ調査機関の調査対応に専念できる人材がおらず、より堅固な財務基盤を持つ大企業に比べてESG評価が低くなる傾向がある。これが株価にマイナスの影響を及ぼし、資金調達能力の低下に繋がりかねない。

 報告書では、どのESG要因が投資家にとってマテリアルか判断する主体としてSECが最適であるとし、複数の開示フレームワークの林立が、企業側に情報開示の多大な負担に繋がり、「一貫性と比較可能性のあるマテリアルな情報が市場に提供されない」状況を招いていると主張している。

 また、発行体によるESG情報開示以外の、第三者のデータソースが提供する「寄せ集め」のデータが「一貫性と信頼性の低い」情報として市場に流れ込んでいるとの見方を示した。

 そして、SECが行動を起こさなければ、米企業は「ESG情報開示のルールを受け入れる側」に回ることになり、「米市場には世界中の投資資金が流入してくる。(中略)したがって米企業は、今後数年以内に他の国や地域が策定した開示基準に従わざるを得なくなる」と結論づけた。

 目下EUは企業、銀行、投資家などに適用される複数の新たなESG情報開示ルールの策定を進めており、今後1年程度で施行される見通しとなっている。

 報告書は、SECはESG情報開示ルールの策定に「本気で着手」すべきであると提言し、ラウンドテーブル、RFI(情報依頼書)など様々な協議の場を通じて市場参加者に働きかけるべきと強調した。

 本報告書の公表前、SECのヘスター・ピアス(Hester Pierce)委員は、SECが上場企業に課している現行の情報開示ルールは既にあらゆるマテリアルな情報を網羅する極めて有効なものであり、IACが提言する取り組みは「不必要と考える」として、批判的な見方を示した。

 同氏は提言を中国当局が導入したESG情報開示要件と比較し、後者は「米国に比べて透明性と整合性で劣る」と説明した。だが、「ESGの不明確な性質を考えればそのような枠組みの方がふさわしいのかもしれない」と指摘した。

 IACは過去にも、議決権行使助言会社の影響力の制限を求める提言(既に撤回された)をめぐりSECに異議を申し立てた。当時、IACはSECに対し、「株主の多様な意見を排除し、議決内容が私利を優先する取締役や役員の声のみを優先する典型的な議決権行使を促すもの」であり、株主の利益に反しているとして批判した。


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【参照】
Responsible Investor, Khalid Azizuddin「SEC committee pushes for ESG disclosure rules」2020年5月22日(2020年6月11日情報取得) 
Recommendation from the Investor-as-Owner Subcommittee of the SEC Investor Advisory Committee Relating to ESG Disclosure (As of May 14, 2020) https://www.sec.gov/spotlight/investor-advisory-committee-2012/recommendation-of-the-investor-as-owner-subcommittee-on-esg-disclosure.pdf


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