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本ブログでは、PRI in Person 2018 現地参加報告をシリーズでお届けします。


 9月12日から14日までの3日間、サンフランシスコでPRI in Personが開催されました。今年は35カ国、500機関から1,200人強が参加、昨年のベルリンと比較して30%増となりました。また、日本からの参加者も、アセットオーナー、アセットマネージャーを中心に約50人と昨年に比べ倍増しており、ESG投資への関心の高さがうかがわれます。今年も気候変動およびTCFDへの対応が中心のテーマですが、S(社会)課題としてのヒューマンライツに関するセッションも数多くあり、同課題のESG投資へのインテグレーションも最先端ではかなり進んでいます。

 さて、初日は朝8時から10時30分までのサイドイベント「Investing in Human Rights: Practical Approaches to Engaging Companies on the “S” in ESG」に参加してきました。朝早いスタートにも関わらず、立ち見の参加者が出るほど盛況です。パネルディスカッションでは、「ヒューマンライツ・ベンチマークのイニシアチブを、投資家がどのように活用しているか」をCHRB(企業人権ベンチマーク)の創設メンバー兼アドバイザーを務めたベネット・フリーマン氏がモデレーター、パネリストにビジネス・人権リソースセンター(Business and Human Rights Resource Centre)、ICCR(Interfaith center of corporate responsibility)およびオランダの資産運用会社であるAPGが参加し議論しました。APGは、CHRBを企業リサーチの一材料として投資の意思決定に組み込み、エンゲージメントの際も参照しているそうです。ICCRは、今年10、11月に発表される2回目のベンチマークを振り返り、全体を通して企業の取り組みが改善しているとの発言がありました。

 2時間半に渡る議論でもっとも印象に残ったことは、「ベンチマークはヒューマンライツの課題を直接解決するものではないが、企業の取り組みの改善を進めるドライバーになる」というベネット氏のコメントです。
また、炭素価格のような明確なターゲットがS(社会)分野にも必要であること、企業ではボードメンバーが人権侵害の責任にアカウンタビリティを負う必要があるとのコメントもありました。「一社、一業界、一地域では課題を解決できない。欧米のギャップも越えて、エコシステム全体で取り組む必要がある」と締めくくられました。


後藤弘子, アナリスト QUICK ESG研究所