2017年10月1日、米・ラスベガスにある高層ホテルの32階から屋外コンサートを楽しむ観客に向けて銃が乱射され、59人の死者と500人以上の負傷者が出る大惨事が発生した[1]。米国内で頻発する銃乱射事件の中でも最大規模の死傷者数である。

 事件翌日の株式市場では、銃を製造する企業の株価が軒並み3%前後上昇した[2]。スミス&ウェッソンの親会社であるアメリカン・アウトドア・ブランズ(図1)、スターム・ルガー(図2)、ビスタ・アウトドア(図3)の株価は、トランプ氏が大統領選に勝利した途端に急下落した。トランプ氏は武器の規制を容認するため、規制が敷かれる前に慌てて拳銃を買う必要がなくなったからだという。これを翻して考えると、今後規制が厳しくなることを見越して需要が拡大すると市場が予測していることになる。

図1 アメリカン・アウトドア・ブランズの株価チャート(2016年10月3日から2017年10月2日)

AOBCチャート

出所:QUICK Qr1よりESG研究所作成

図2 スターム・ルガーの株価チャート(2016年10月3日から2017年10月2日)RGRチャート

出所:QUICK Qr1よりESG研究所作成

図3 ビスタ・アウトドアの株価チャート(2016年10月3日から2017年10月2日)

VSTOチャート

出所:QUICK Qr1よりESG研究所作成

 政界のリーダーらも、一斉に反応した[3]。オバマ前大統領、バイデン全副大統領、クリントン元国務長官ら民主党政治家は、口々に武器の規制強化の必要性を強調している。武器保有の権利を主張する全米ライフル協会は、通常のソーシャルメディアによる宣伝を終日中止し、ラスベガスの乱射事件についてはコメントを差し控えている[4]。年間5,800万ドル以上(2016年現在)を武器保有の権利擁護活動に費やす全米ライフル協会[5]は、伝統的な共和党びいきで知られるが、トランプ大統領はこの事件について「純粋な悪のなせる業」と断言した。今後、武器保有規制の動きが強まるかどうかが試されるが、投資家動向を見る限りでは、その方向にかけているようだ。

【参考】
[1] BBCニュース「Las Vegas shooting: At least 59 dead at Mandalay Bay Hotel」2017年10月3日(2017年10月3日情報取得)
[2] マーケットウォッチ「Gun-maker stocks rally after mass shooting in Las Vegas」2017年10月2日(2017年10月3日情報取得)
[3] フォーチュン「Las Vegas Shooting: Trump, Obama, Scalise, Giffords, and Other Leaders React」2017年10月2日(2017年10月3日情報取得)
[4] ポリティコ「NRA goes dark after Vegas massacre」2017年10月2日(2017年10月3日情報取得)
[5] Center for Responsive Politics(CRP)「https://www.opensecrets.org/orgs/summary.php?id=d000000082&cycle=2016」(2017年10月3日情報取得)


Mari Kawawa QUICK ESG研究所