厚生労働省は、2017年6月14日に「平成29年度 人口動態統計特殊報告『平成27年都道府県別年齢調整死亡率の概況』ー主な死因別にみた死亡の状況ー」の概況を取りまとめ、公表した。

この報告は、都道府県別の人口10万人当たりの年間死亡率を示しており、健康水準の指標とされている。国勢調査に併せて5年ごとに公表され、今回は2015年国勢調査結果に基づいている。

死因別の死亡率は、悪性新生物(がん)、心疾患および脳血管疾患の三大死因のほか、糖尿病なども前回調査(2012年)と比べて、全国的に低下している。

都道府県別では、長野県が男女とも最も低く、他方、青森県が男女とも最も高いという結果となっている。

都道府県別死亡率に差が出る要因については、食生活をはじめとする生活習慣、行政側の保健指導等の違いが考えられるが、公表された報告には、その分析に関する言及はない。

この報告結果から、平均寿命の延伸および高齢化、それに伴う社会保障費(年金および医療保険等)の増大傾向など、日本の経済成長を阻害する課題が垣間見えてくる。

2017年6月9日に政府が閣議決定した成長戦略「未来投資戦略2017」の中の「第2 具体的施策 I Society 5.0 に向けた戦略分野  1.健康・医療・介護」などに改めて目を通してもらいたい。

報告結果のポイントは次の通り。

<全死因における全国の年齢調整死亡率※(人口10万比)>

  • 平成27年は男性486.0、女性255.0で、前回5年前(平成22年)と比較すると、男性は58.3ポイント、女性は20.0ポイント低下し、死亡状況は改善。男女とも昭和22年以降低下傾向は続いている。
  • 三大死因の死亡率が過去最低を更新した。悪性新生物は、男性165.3、女性87.7、心疾患は、男性65.4、女性34.2、脳血管疾患は、男性37.8、女性21.0となっている。

<全死因における都道府県別にみた年齢調整死亡率※>

  • 男性は長野、滋賀、奈良等が低く、青森、秋田、岩手等が高い。また、女性は長野、島根、岡山等が低く、青森、福島、茨城等が高い。

 男女ともに長野が低く、青森が高いという結果となった。

<三大死因における都道府県別にみた年齢調整死亡率※>

  • 悪性新生物・・・男性は長野、滋賀等が低く、青森、秋田等が高い。また、女性は岡山、長野等が低く、青森、北海道等が高い。
  • 心疾患・・・男性は福岡、佐賀等が低く、千葉、岩手等が高い。また、女性は福岡、富山等が低く、愛媛、和歌山等が高い。
  • 脳血管疾患・・・男性は滋賀、奈良等が低く、青森、秋田等が高い。また、女性は大阪、滋賀等が低く、岩手、栃木等が高い。

<その他の死因における都道府県別にみた年齢調整死亡率※>

  • 自殺・・・男性は神奈川、大分、愛知等で低く、秋田、山形、沖縄等で高い。また、女性は福井、佐賀、高知等で低く、栃木、群馬、岩手等で高い。
  • 糖尿病・・・男性は奈良、山形、神奈川等で低く、鳥取、青森、鹿児島等で高い。また、女性は島根、福井、山形等で低く、沖縄、青森、香川等で高い。

※年齢調整死亡率は、死亡数を人口で除した通常の死亡率(粗死亡率)と違い、年齢構成の異なる地域間で死亡状況の比較ができるようにするための死亡率のことである。この死亡率は、年齢構成をそろえた場合の人口 10 万人あたりの死亡数を表している。年齢調整死亡率を用いることによって、年齢構成の相違を気にすることなく、より正確な地域比較や年次比較をすることができる。

参考:
平成29年度人口動態統計特殊報告「平成27年都道府県別年齢調整死亡率の概況」(2017年6月14日 厚生労働省公表)
http://www.mhlw.go.jp/toukei/saikin/hw/jinkou/other/15sibou/index.html
「未来投資戦略 2017 ―Society 5.0 の実現に向けた改革―」(2017年6月9日 閣議決定)
http://www.kantei.go.jp/jp/singi/keizaisaisei/pdf/miraitousi2017_t.pdf

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菅原 晴樹, シニアコンサルタント QUICK ESG研究所