アラベスクグループのESG評価サービス「ESGブック(旧アラベスクS-Ray)」による2022年6月30日時点の日本企業のESGスコアをランキングしたところ、首位は3月末と同じナブテスコ(6268)で、74.40点だった。2位は72.11点のディスコ(6146)で、3月末の37位から躍進した。

■上位10社は1年前と6社が入れ替わる

 6月30日時点の上位10社を1年前と比べると、今回3位のポーラ・オルビスホールディングス(4927、1年前は4位)、5位のユニ・チャーム(8113、同2位)、7位のピジョン(7956、同8位)、9位のオムロン(6645、同1位)を除く6社が入れ替わった。

2022年6月末時点の日本企業のESGスコア上位10社
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出所:ESGブック(QUICK Knowledge特設サイトより)

 6月30日時点で上位5社が70点台をマークしたが、世界ランキングで日本企業はナブテスコの8位が最高で、トップ10入りは1社にとどまった。日本企業567社の分布状況を10点刻みで見ると、50点以上60点未満が251社と最も多く、平均は52.65点だった。

 ESGブックは世界の9000社を超す企業について公開情報と世界の情報元からESG評価に必要なデータを収集し、独自の手法でESGスコアを毎日更新している。ESGスコアは100点満点で、E(環境)、S(社会)、G(企業統治)の3つのサブスコアから構成され、ESG課題の株価へのインパクトを考慮して、業種ごとに評価項目のウエートを変えているのが特徴だ。

■ディスコはGやSのサブスコアの上昇目立つ

 今回2位のディスコの6月30日時点のESGスコアは、1年前の64.54点(38位)から7.57ポイント上昇した。サブスコアを1年前と比べると、環境が68.06点から67.19点に下がったものの、社会は57.32点から63.83点に、企業統治は66.40点から79.62点に大幅に上昇した。

 ディスコのホームページで「企業統治」に関連するニュースをみると、6月29日の総会で、指名委員会等設置会社への移行を決めた。以前からガバナンスを重要な課題と位置づけ、任意の指名・報酬諮問委員会の設置や、社外取締役比率3分の1以上の選任などを進めていた。また2018年に代表取締役の業務執行の適切性を評価する「代表取締役評価委員会」を設置し、経営トップの評価を社外取締役主導のもとに実施してきた。

 「社会」関連では、経済産業省と日本健康会議が推進する「健康経営優良法人2022」に認定とのニュースが出ている。健康経営優良法人への認定は2017年より6年連続という。これがESGスコアの向上に直結するかどうかはわからないが、従業員の健康や安全に配慮する活動を進めてきたことがうかがえる。サステナビリティに関する諸々の取り組みがESGスコアの向上につながっているとみられる。

■ディスコの株価はTOPIXより下落率が大きい

 ディスコ株の6月30日の東証終値は3万2200円と、1年前に比べ5.2%下げた。3月31日との比較では6.4%下落した。東証株価指数(TOPIX)は1年前比3.7%安、3月31日比は3.9%安であり、ベンチマークと比べるとディスコの下落率の方が大きい。2四半期末連続で首位を守ったナブテスコの株価も1年前に比べ安く、下落率は24.5%だった。

 ESGスコアの上がった会社の株価がベンチマークを上回るとは限らない。ESGブックは様々なESG評価の1つに過ぎないうえ、株価は材料になるニュースや企業の収益力、投資指標の評価などの要因が影響するからだ。ただ、ESG課題に関する取り組みが中長期的な企業価値向上につながるとみられている。ESGスコアが変動した背景を探る意味はあるだろう。


QUICKリサーチ本部プリンシパル ESG研究所エディター 遠藤大義