独ESG評価会社アラベスクS-Rayによる2022年3月31日時点の日本企業のESGスコアをランキングしたところ、首位は73.56点のナブテスコ(6268)だった。四半期末ベースでは1年前の21位、3カ月前の4位から順位を上げた。またコーセー(4922)が68.94点で9位とトップ10入りした。1年前は47位、3カ月前は22位だった。

■上位10社は1年前と6社が入れ替わる

 3月31日時点の2位はユニ・チャーム(8113)、3位はポーラ・オルビスホールディングス(4927)で3カ月前はそれぞれ首位と3位だった。今回の上位10社を1年前と比べると、6社が入れ替わった。1年前もトップ10だったのは、ユニ・チャームのほか、今回5位のオムロン(6645)、7位のヤマハ(7951)、8位の花王(4452)の4社だった。

ESGスコア国内上位企業

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出所:アラベスクS-Ray(QUICK Knowledge特設サイトより)

 3月31日時点で上位6社が70点台をマークし、昨年12月末時点に比べ70点台が2社増えた。一方、海外企業も含めた世界ランキングでは、ナブテスコの7位が最高で、トップ10入りは1社にとどまった。日本企業567社の分布状況を10点刻みで見ると、50点以上60点未満が257社と最も多く、平均は53.29点だった。

 アラベスクS-Rayは企業の公開情報と世界の情報元からESG評価に必要なデータを収集し、独自の手法でESGスコアを毎日更新している。ESGスコアは100点満点で、E(環境)、S(社会)、G(企業統治)の3つのサブスコアから構成され、ESG課題の株価へのインパクトを考慮して、業種ごとに評価項目のウエートを変えているのが特徴だ。

■ナブテスコとトップ10入りのコーセー、サブスコアそろって上昇

 首位ナブテスコの3月31日時点のESGスコアは、1年前の66.50点から7.06ポイント上昇した。サブスコアを1年前と比べると、環境が68.54点から73.29点に、社会は69.76点から71.44点に、企業統治は62.53点から75.74点に上がり、3分野すべて70点を超えた。とりわけ企業統治のスコア上昇が目立つ。

 ナブテスコは今年2月にESG課題の解決に注力することも目標に盛り込んだ新中期経営計画を発表した。説明会資料によると、前中期経営計画でもESG課題の解決を掲げ、例えば、「ガバナンス強化」では「2021年度の社外取締役比率40%(2016年度30%)」を実行した。こうした施策が寄与しているとみられる。

 今回9位に入ったコーセーのサブスコアは環境が66.25点から68.78点に、社会は64.76点から68.01点に、企業統治は61.26点から69.82点と、ナブテスコ同様に3分野そろって上昇した。

 コーセーは2020年4月にグループとしてのサステナビリティに関する取り組みと2030年までの目標をまとめた「コーセー サステナビリティ プラン」を策定したと発表。中長期ビジョン「VISION2026」の3つの基盤戦略の1つに「バリューチェーン全体にわたるサステナビリティ戦略の推進」を設定した。企業活動に「サステナビリティ視点」を組み込み、事業成長と持続可能な社会の実現の両立を目指してきた。

■ナブテスコもコーセーも1年前に比べ株価は大幅下落

 ナブテスコもコーセーも1年前に比べアラベスクS-RayのESGスコアでみる限り、評価が高まった。一方、3月31日の株価をみると、ナブテスコは3260円と、昨年3月末比35.6%安、コーセーは12890円で17.7%安だった。日経平均株価は4.7%安、東証株価指数(TOPIX)は0.4%安であり、ベンチマークと比べ株価の下落が目立つ。

 ESGスコアの上がった会社の株価がベンチマークを下回ったのは、アラベスクS-RayはESG評価会社の1つに過ぎないうえ、株価は材料になるニュースや企業の収益力、投資指標の評価など様々な要因が影響するためとみられる。しかし、ESG課題に関する取り組みが企業価値に影響を与えるとみられていることは間違いない。投資家にとってESGスコアが変動した背景を探る意味はあるだろう。


QUICKリサーチ本部プリンシパル ESG研究所エディター 遠藤大義